2010年07月22日

アメリカでのガンダムのポジション

 前回、6月分でのガンダム講談会では僕はさぼってワールドカップを見ていたので(謝罪)、その時の分のDVDを購入して見ていたんですが、そこでコンスコン若林先生がアメリカでのガンダムの位置づけを元にネタにしていた事から「そういや、僕も調べて今は無きアシッド映画館(涙)の掲示板に書き込んでいたな。」と思い調べてみると下書きが残っていたので再録してみようかと。

元々のきっかけは「ジェームズ・キャメロンがガンダムを知っていた事からアメリカでもファーストガンダムが放映されていたんじゃないか?」という書き込みがあった事に対し「そうだったかな?」と調べてみた事だったと思います。一部僕の推測を入れて書いているので信憑性の問題もありますし、他の人の書き込みが無いために話の前後が解りにくいとは思うのですがお暇なら読んでみて下さい。メモに2007年9月21日とあるので3年前の僕の文章です(苦笑)。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この記事を読んでアスキーから出ていたG20という雑誌に何か書いてあったと思い、引っぱり出して読み返してみました(ちなみにvol.7、1999年の本やん!)。この本は基本的にアジアでのガンダム事情を調べた物で欧米に関する記述はオマケ程度しかありませんでしたが、読み込んで見ると…。

アメリカでのガンダムのポジション

元々アメリカでのアニメーション・コミックの地位は低く、いい大人になってそういうのが好きな人は社会的にドロップアウトした人なんだそうです。そういった状態で日本のアニメ・マンガが好きな人は極めて少数派だったとか。ちなみに西海岸のSFファンが日本アニメファンのパイオニアなんだそうです。

80年代末になって日本アニメ・マンガファンが市場に対する影響力が少しとはいえ増して行くと公式ビデオリリースが出るようになったそうです。ただ、ロボテック(マクロス)がテレビ放送され、知名度が高い一方、ガンダムはテレビ放送はもちろん無かったために、知名度という点ではコアな日本アニメ・マンガファンに限られていたそうです。

ここからは僕の予想ですが、アメリカでのガンダムファンは少なかったためにビデオリリースされなかったのではないでしょうか?ただでさえ少ない日本アニメファンの中のごく一部の層に向けて発売するのは商売的においしくないという判断があったのかもしれません。

アメリカでの日本アニメの転換点にも触れられていて97年のセーラームーンと99年のポケモンの放映開始が大きかったようです(あとドラゴンボールも)。これで市場が大きくなってガンダムのソフト化が遅ればせながらされるようになりファースト劇場版3部作や、0080、0083が発売された(いずれも99年発売)のですが、アメリカ人にはガンダムウイングの方がウケがいいらしいようなのです。

その理由はMSが綺麗。それとキャラの存在感がファーストよりウイングの方が立っているというのもあるんだそうです。ちなみにここでの存在感はアイドル的であるかどうかだとか(追記:それと若林さんが指摘していたとおり、一番最初に放映されたガンダムということも大きいでしょうね)。ややこしすぎるファーストはアメリカ人向けではないのでしょうか?どうも市場が小さいときは売れないからと発売されず、市場が大きくなった時は後継シリーズに押されたりとファーストガンダムはアメリカではあまり幸せな存在ではなかった感じがします。

 さらに突っ込んで調べてみるとウィキペディアの英語版に詳しく書いてありました。アメリカでの放映開始は2001年の7月23日、放送局はカートゥーンネットワークですね。ただ、これは911テロの影響で途中打ち切りの憂き目に会っています(ロボテックも打ち切りになっていたようなので、911以後は戦争を連想させる物は全部打ち切りになっていたかもしれません)。

 その後、2002年の6月8日からカートゥーンネットワークで一から放送されたそうですが(枠はアダルトスイムと言われる深夜枠)、これも人気が出ずに打ち切りになったそうです。

 (アシッド映画館の掲示板で)ジェームズ・キャメロンがガンダムを知っていた=ガンダムの放送があったのでは?という推測がありましたが、僕はちょっと無理があると思います(岡田斗司夫さんが書いた「解説」を僕は読んでいませんが、おそらく「ガンダムムービー」と言ったことしか書いていないのでは?)。それではなぜ、キャメロンがガンダムを知っていたかという疑問があります。実は日本アニメの知名度が低い頃でもクリエーター及びクリエーター志望者の中ではガンダムはそれなりに知られていたそうなのです。ここからは僕の推測ですが、その中にキャメロンがいたんじゃないでしょうか(そういえば日本アニメファンのパイオニアが西海岸のSFファンという事は妙にキャメロンとシンクロしますね)?

http://ask-john.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/usa_9c87.html
http://www.animeanime.jp/100/100-10.html
 この二つのコラムを読んでいると改めてアメリカではガンダムは恵まれていないなぁ、と感じます。この上の方のリンク先のコラムを書いているロミさんの請け売りですが、ロボテック(マクロス)の対抗馬としてどこかの放送局が放送していれば状況は変わっていたかも知れません。ただ、50話以上求めるアメリカの地上波で43話しかないガンダムを放送するのは無理だったでしょう(ロボテックとして無理矢理くっつけられたのもこうした理由も一因だとか)。市場が広がったら広がったで、今度は絵が古くさいという理由で受け入れられないという現実。アメリカに限っては生まれた時期が悪かったんでしょうか?

 僕の中で「鉄腕アトムから始まったアメリカのジャパニメーション旋風」というのがあったんですが、正直こうやって色々調べてみると過大評価でした(汗)。キャメロンのようなクリエーターが日本アニメファンと聞くと、なんかアメリカ人みんなが知っているかのような気になるんですが、正直そういったクリエーターは、言葉は悪いけど、ごく一部の変わり者なんですねぇ。

 アメリカでのガンダムビデオ発売日を調べてみたんですが、見つけることが出来ませんでした。ただ、G20でのインタビューに答えていたガンダム小説版の翻訳を行ったF.L.Schodtさんによれば「去年か一昨年に英語版ガンダムのビデオがやっとアメリカでも手に入るようになった。」という証言があるので、97年か98年には発売されていたと思います。

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Posted by 天野"kevin"達也 at 00:05│Comments(4)ガンダムネタ
この記事へのコメント

以前アメリカ人の方に俺もガンダムの事聞いたんですが、漠然とガンダムは知っていて1stだとかSEEDとか日本みたいに見分けて説明は出来ないみたいです。
ウイングの事情は知りませんでしたわ。
ただ、忘れてはいけないのが
【Gセイバー】です。
そのアメリカ人の方はGセイバー入りでガンダムを見てたのです。
ちょっとは役立ったGセイバー!
もっとおもろかったらアメリカでガンダムが根付いたかも知れんのにGセイバー!

これが、アメリカ人にとって1stガンダムやったかも知れません。
Posted by ぬまっち at 2010年07月22日 01:25

ぬまっちさん、コメントありがとうございます。

意外に頑張っていた!Gセイバー!
でも実写でのガンダム作品であるGセイバーは未だに「アニメは子供が見る物である。」という意識が強いアメリカにおいてはガンダムの入り口としては最適だったかも知れませんね。ぬまっちさんの言うとおりこれが面白かったらその他のガンダムシリーズも…という「たられば」になりますよねぇ。イグルーシリーズとかアメリカ受けしないのかなぁ…。

ちなみにGセイバーはアメリカでは2年遅れの2002年に発売されたそうです。
Posted by 天野“ケビンコナス”達也 at 2010年07月22日 18:55

ロボテックはパラディウム社のTRPG・ソ−スブックが出され、小火器や組織図まで設定が為されるなど、日本でのガンダムに当たる地位を築いています。

具体的には 『サザンクロス軍・小火器及びガンポッド』 とgoogle検索サイトで検索すると拙作の翻訳済みウィキサイトが出るかと思いますが、拳銃から小銃まで、銃器の国、アメリカ合衆国の国民性でしょうか、細微に亘り解説してあってあきれるほどです。

傭兵や戦争を基点とした「バトルテック」と異なり、物語性や女性客をも取り込む「恋愛」・「歌曲」の要素を維持していたのも、英語圏の国民性にマッチしていたようで、実写版製作が進行中である理由もわかるような気がします。

しかし、翻案物であることからくる複雑な権利関係の衝突で日本以外の国では輸出された「マクロス」と自国内の「ロボテック」(含むサザンクロス、モスピーダ)が並存するという不幸な現象が起きています。
Posted by ゆい奈 at 2010年08月19日 05:43

ゆい奈さんコメントありがとうございます。

ロボテックがアメリカで受け入れられた理由がわずかながら解ってきました。

それとマクロスとロボテックが共存している弊害も当然出てくるでしょうね。貴重な情報ありがとうございました。
Posted by 天野“ケビンコナス”達也 at 2010年08月19日 23:28
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