2009年10月08日

「キャデラックレコード」観賞

 そろそろ公開が終わろうとしていたので急いで「キャデラックレコード」を見てきました。

 ユダヤ系ポーランド移民のレナード・チェスはシカゴで黒人向けのナイトクラブを経営していた。そこで腕のいいブルーズミュージシャンのマディ・ウォーターズと出会い一念発起し黒人向けのレコードレーベル「チェスレコード」を設立する。DJに賄賂を渡して優先的にラジオに流れるようになったチェスレコードは成功を収めリトル・ウォルター、ウィリー・ジャクソン、ハリソン・ウルフ、チャック・ベリー、エタ・ジェイムズ達がチェスの元に集まってきていた。中でもチャック・ベリーはロックのパイオニアの一人となり、今まで黒人音楽に興味を持たなかった白人までもが彼に熱狂することになる。

 順調だった「チェスレコード」も次第に契約ミュージシャンのスキャンダルもあり、かげりが見え始めた頃、レナード・チェスは会社を売却するとその直後に…という話です。

 この映画でのエイドリアン・プロディが演じたレナード・チェスは「汚いこともしたけれど、黒人を差別しなかったいい人」として描かれていますが、どうもこれはかなり美化されたようで、実際はケチなおっちゃんで黒人からお金を吸い上げていると見ていた人もいるそうです。

 伝記的な作りで劇的な展開こそないものの、ブルーズとロックの歴史をたどる歴史物の一面もあってなかなか面白かったです。エイドリアン・ブロディとエタ・ジェイムズを演じたビヨンセのエロい演技合戦もちょっとした見物です。

 ところでブルーズとロックを広めたもう一つのレーベルといえばジャクソン5やレイ・チャールズ達が所属した「モータウン・レコード」ですが、ここに所属していたシュープリームスの歴史を描いたのは「ドリームガールズ」なのは有名。ビヨンセは「キャデラック・レコード」で製作も担当しているんですが「ドリームガールズ」でモータウンをやったんだからもう一つのチェスも扱いたい、という思いから製作から携わったのかもしれませんねぇ。彼女がリスペクトしているエタ・ジェイムズを演じたいという理由もあるそうですが。

 余談ですが、パンフにあった解説文の中にエタ・ジェイムズがモータウンはアップタウン、チェスはダウンタウンの音楽と評していたそうです。たしかに同じブルーズを起源とした同時期のレーベルでありながらモータウンは都会的でポップ、チェスはブルーズの泥臭い所を残した感じがします。

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Posted by 天野"kevin"達也 at 00:30│Comments(2)映画
この記事へのコメント

おはようございます。

結構美化されてましたよね(笑)
ボクはマディーとストーンズが出会うシーンが一番好きでした。
「マディー、確かスタジオのペンキ塗ってたのでは!?」とこけそうになりました(笑)
とにかく音楽もバッチリで、見応えのある映画でしたね。
Posted by トオル31 at 2009年10月08日 06:29

トオル31さんコメントありがとうございます。

美化しすぎですよねぇ。映画の頭で「事実に基づいた話である」と出ていたんですが、あれ嘘ですよねぇ(笑)。でも面白かった!

若きストーンズのメンバーがマディと会うシーンはちょっとしたサプライズでした。ミック・ジャガーが良く似ていたので映画館からもの凄く小さな「おー」が出ていました。

ブログを拝見させて頂いたんですが、ブルーズ&ロックがお好きのようですね。ちょこちょこ寄らせていただいて勉強させて頂きます。

トオル31さんの「キャデラック〜」の映画評
http://sm1978.otaden.jp/e57894.html
Posted by ケビンコナス at 2009年10月08日 11:31
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