2010年09月20日

「遥かなる大地へ」と「ターンA」

「遥かなる大地へ」と「ターンA」

 たびたびネタ元として登場して貰っているガンダム20周年を記念して徳間書店から出された「GaZOスペシャル ガンダムミレミアム」という本があるのですが、この中にターンAガンダムとロン・ハワード監督「遥かなる大地へ」の関連性をアニメ評論家の藤津亮太さんが指摘していたのでレンタルしてみました(ちなみにDVDは製作されたのですが既に廃盤。現在はレンタルでしか見ることが出来ません)。

「遥かなる大地へ」と「ターンA」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 舞台は19世紀末のアイルランド。地主からの地代の取り立てで小作農達の不満が溜まり暴動が起きていた。その暴動の影響で起きた事故で一人の小作農が重傷を負い、家に運び込まれる。ジョセフ(トム・クルーズ)ら子供達が見守る中、息を引き取るのだが何故か一度息を吹き返しジョセフに対し自分の土地を持つ事の重要性を説き今度こそ息を引き取った。

 父親の棺桶を担いでいる最中にも関わらず地主の財産管理人スティーブンが地代の請求にやってくる。ジョセフ達が払えない事を知るとスティーブンは家に火を放ってしまう。これに怒ったジョセフはおんぼろライフルを持って地主を殺しに行こうとするが途中に立ち寄ったバーで偶然地主のクリスティがやってくる。会ってみると意外なほど好人物で地元の人たちに尊敬されているクリスティに戸惑うジョセフだが、屋敷に忍ぶ込むことに成功。馬小屋で一夜を過ごす。しかし乗馬から帰ってきたクリスティの娘、シャノン(ニコール・キッドマン)に見つかってしまい、仕方なくジョセフは出てきたクリスティに向けて発砲するがおんぼろライフルが暴発し気を失ってしまう。

 屋敷の一室で治療を受けつつも拘留されているジョセフ、そんなジョセフに興味津々なのがシャノンであった。シャノンは退屈な古いイギリス的な考えに飽き飽きしていた。さらに財産管理人スティーブンと結婚させられそうになっている状況からも逃げだしたい気持ちもあった。そこでタダで土地を得られるという情報から新天地アメリカに向かうサポート役としてジョセフを指名するのだが、ジョセフは拒否する。やがてジョセフは真の敵であるスティーブンと決闘することになるのだが馬車で家出してきたシャノンの邪魔が入り、流れ上ジョセフは同行する事になってしまう。

 シャノンは主人、ジョセフは使用人という形でボストンに向かう船に乗船する。到着した後は別行動する予定だった二人だがシャノンが屋敷から持ち出した金品が盗まれジョセフはほっとけない状況になる。町で出会った少年からアイルランド人コミュニティがある事を知ったジョセフはそこのボスに頼みシャノンを妹と偽って売春目的の安宿に住まわせて貰うことになる。やがてタダで土地が貰えるのはアメリカのほぼ中央にあるオクラホマとわかり、そこまでの旅費を貯めるために二人は働くのだが…というお話です。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 映画としては面白かったです。ただ、まだスターがスターしていた1992年の作品ということもあって作風の古さは感じました。もし今作るとしたらもっと脇役を立てて作るでしょうねぇ。正直トムとニコール前に出過ぎ(笑)。

 歴史物としても興味深い作品でシャノンとジョセフがアメリカに向かうのは大量のアイルランド人移民を生み出した「ジャガイモ飢饉」を連想させますし(ただ飢饉を描くのはエンタメとしてヘビー過ぎるという判断で逃避行という形に書き換えたか?)、オクラホマにタダの土地を求めるのはインディアン(ネイティブアメリカン)の土地を強引に奪い取り白人達に入植させた「ランドラッシュ」という実際の出来事なのです。

「遥かなる大地へ」と「ターンA」

 さてターンAとの関連ですが多くの面で見られます。「遥かなる〜」では舞台は19世紀末のアメリカ、ターンAは19世紀末から20世紀初頭のアメリカを「イメージ」しているのでほぼ同じ。シャノンとジョセフの関係もキエル(ディアナ)とロランの関係を思わせます。シャノンとキエルは共に進歩的で碧眼(青目)でパツキン(金髪)だし、ムーンレイスの地球帰還も「ランドラッシュ」を連想させます。

 「遥かなる〜」の7年後にターンAが放送されているので(99年)、ターンAが「遥かなる〜」の影響を受けている可能性は充分にあると思います。ですが、この作品だけをターンAのネタ元だと考えるのは非常にレベルの低い思考におちいってしまうので僕はそうは言いたくありません(ちょっと富野さん風発言)。言うまでもなく「竹取物語」からも影響を受けているでしょうし、藤津さんの文にもあるのですが西部劇が成立していた1930年〜40年代のハリウッド黄金期の作品も忘れたらいけないでしょう(おそらく「遙かなる〜」もここら辺から影響を受けていると思います)。

 これらを考えるとターンAはガンダムという名前を使いながら、ガンダムとは違う方向からトライした作品なんだな、と改めて思うのです。

 ところで「遙かなる〜」にはアイルランド人コミュニティのボス役としてコルム・ミーニィが出演しています。
「遥かなる大地へ」と「ターンA」

ハリウッド映画で「アイルランド人役と言えばコルム・ミーニィ!」というくらいの人なんですが(僕が断定)、アメリカのテレビシリーズ「新スタートレック」「スタートレック・ディープスペースナイン」のマイルズ・オブライエン役としての方が有名かも。案の定というか舞台が未来でもアイルランド人という役なのです(笑)。

「遥かなる大地へ」と「ターンA」
あ〜なんかギネスビール飲みてぇ〜。

同じカテゴリー(映画)の記事
 新橋文化会館閉館 (2014-09-01 15:05)
 「アーネストとセレスティーヌ」鑑賞 (2014-06-22 23:45)
 「モンスターズ/地球外生命体」鑑賞 (2014-06-02 23:15)
 映画喫茶白鯨5月でした(来月もあるよ)! (2014-05-26 23:05)
 映画喫茶白鯨5月(終&続) (2014-05-12 18:15)
 メガ・シャークvsメカ・シャークをいち早く。 (2014-04-28 22:05)
Posted by 天野"kevin"達也 at 00:55│Comments(0)映画
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。