2010年09月23日

映画「NINE」は…

 ハリウッドミュージカル映画「NINE」という作品、映画館で予告編を見たときは面白そうな予感があって楽しみにしていたのですが、気が付いたら公開が終了。「あれ?」と思いつつも妙に心残りだったのでレンタルしてみました。

 舞台はイタリア。有名映画監督グイドは極度のスランプに入り脚本が無いにも関わらず新作映画「イタリア」の制作に入ってしまった。気分転換にスパ付きホテルに泊まるのだが愛人が押し掛けたりしてまったく落ち着かない…というお話です(笑)。「このあらすじ説明はひどいだろう。」と言われそうですが、これ以上言ったらネタバレになっちゃうから!

 イタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」が原作としてありまして、これを元にブロードウェイミュージカル作品「NINE」となり(1982年にトニー賞作品賞受賞、2003年に同リバイバル作品賞受賞)、さらにこのミュージカルを映画化したのがこの映画「NINE」ということになります。

 映画が始まってすぐに「あれ?この作品変だぞ?」という違和感がありました。で、それは最後まで無くなりませんでした。おそらくこれはイタリアが舞台なのにイタリアぽさが感じられない事にあると思います。ロケ地・セリフに所々イタリアぽいのはあるんですが、どうしてもハリウッドで作っている(大部分の撮影が行われたのはロンドンのスタジオらしいのですが)感じがしてしまいウソっぽく見えてしまいます。映画はすべてとは言いませんがウソの積み重ねによって作られる物ですが、上手にウソをつくことで感動したり興奮したりする物だと思います。ですが、この「NINE」はウソの付き方が下手なんです。たらればですけど、セリフ・歌をすべてイタリア語にするとか、舞台をハリウッドに移す事が出来たらもう少し作品に説得力を持たせることが出来たような気がします。

 監督のロブ・マーシャルの前々作「シカゴ」では上手にウソを付けていたんですよ。アメリカが舞台の作品にアメリカ人が英語で歌う事で(キャサリン・ゼタ・ジョーンズはウェールズ出身ですが一応英語圏なので)説得力を持たせていました。一方でフランスが舞台なのにフランス人もフランス語も出てこない「ムーラン・ルージュ」というのもありますが、これはバズ・ラーマン監督の世界観でのフランス、最初からトンデモフランスだったからOKだった訳です。しつこいんだけどどうして映画版「NINE」は説得力持たせられなかったのかなぁ。おそらくミュージカル版をほぼそのまま移植してしまったのが不味かったのでは。舞台は見る人が足りない部分を最初から脳内補完するつもりでいるから無茶も効くんですけど、映画になるとそれが期待できないことを制作サイドは忘れてしまったのかなぁ?

 見所が無い訳では無いんですよ。アカデミー賞の美術賞・衣装賞・主題歌賞にはノミネートされていますし。ただ、芸術関係のノミネートはあるけど俳優陣のノミネートがない作品って
大概つまんないんだよねぇ(笑)。
(注:NINEではペネロペ・クルスが助演女優賞で一応ノミネートされましたけど)

 あ、余談ですけどNINEの英語版ウィキを見ていると制作費は8000万ドル掛けたのに興行収入が約5384万ドルしかないんですけど…。

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Posted by 天野"kevin"達也 at 00:52│Comments(0)映画
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