2014年07月04日

2014年観劇上半期記録

1月12日「夜更かしの女たち」
直人と倉持の会 サンケイホールブリーゼ

 ある高校の美術教師ハザマ(竹中直人)が退職することからお別れパーティーが行われていた。が、実のところこのことをダシにして集まっただけで、事実上は元生徒達の同窓会となっており、その空気にいたたまれなくなった教師は会場を抜け出し駅の待合室で帰りの電車を待っている。その時到着した電車から元生徒で有名芸能人になっていたトワコ(中越典子)が降りてくる。さらに幹事役の元生徒モトコ(篠原ともえ)達が加わったことで彼女たちの男子同級生が自殺した話が浮かび上がってくる。そこに偶然降りてきた女性作家アヤコ(風吹ジュン)が彼女たちの話を聞いていく内に一つの仮説を立てるのだが…というお話でした。

 このお芝居は前半一時間の休憩20分、後半一時間の構成なのですが、前半は駅の待合室での様子を演じ、休憩の間にセットチェンジ。後半は舞台をその駅の裏のバスロータリーに移し、一から芝居をやり直し、実は裏ではこのような会話が行われていたのです、という前半では解らなかった部分を埋めていく構成になっていました。まーこのセットが凄い!実際に電車が動くんだから!よく20分でセットを変えられるものだと感心。

 物語としては個人的には好きな部類に入るとは思うのですが、物足りなかった感が強し。ネタばれですが、女性作家の風吹ジュンさんが立てる仮説は自殺した同級生は事故死なのでは?という物。しかしそこに行き着くまでの事前のネタ振りが弱い。細かく言えば弱いというよりも、最後の最後に推理物になるとは予想が付かないのでネタ振りが印象に残っていないがために解決(?)したことへの爽快感が薄い(風吹ジュンさんが女性作家と解るのが後半部分でそれまでは謎のおばさん。解決の導き手と気がつきにくい)。僕が鈍いと言われればそうかもしれないけど、キャラクターの全体像を観客に把握させるのは早めの方がベターだと思う。このようなタイプのお芝居は料金も高くお客さんも一回勝負がほとんど。だからなおさら。

1月19日「よぶ」
STAND FLOWER 應典院

 凄かった!の一言なんだけどあの人の心を締め付ける演技と叫びはなんだろうね。お芝居で泣く事はよくあるけど、今回の泣きはその心を締め付けることで搾られて出た涙のような気がします。

 なかなかプロとして食っていけないカメラマンの青年が背水の陣といきこんで大学時代の先輩後輩を連れて撮影旅行に出かける。しかしその先輩の彼女が崖から転落、事故死してしまう。彼女をそこまで連れていった事、そして事故後の対応について仲間達から責任を問われる青年。「何も悪い事をしている訳ではないのに、苦しむことになる」旧約聖書の「ヨブ記」を元にしたお話でした。

 後半不安だったのはこの展開で上手く締められるかどうかでしたが、主役の立花祐介さんのほぼ一人芝居による独白になった事が良かった。これで他キャラクターを最後は悪者にせず、世の中の無情を訴えた事に好感を持ったし、邪魔がいないスリリングな芝居で見ている僕らが集中、ひたすら集中。一人芝居をやり切った立花裕介さんも凄いけど、そこに行くまでには皆さんの熱演があったからこそ。しかしこのお芝居は本当にやるのにストレスがかかったと思う。それこそ心臓を大事に…。

2月8日「月雪の娘」
ムーンビームマシン ABCホール

 雪女の呪いによって盲目となってしまいさまよう剣士と、雪女と人間との間に生まれた少女が出会ってしまう。やがて不老不死の効果がある雪女の血が原因で遊女が亡くなるという事件が起こる。その騒動はやがて剣士の妹にも影響がおよび…というお話でした。

 江戸時代の文化を今の感覚で新解釈する世界観はPCエンジンの「天外魔境」シリーズのようで、僕にとってはちょっと懐かしい感じ。前に見に行った「ドロテアノヒツギ」よりも「世界観は」好きかも。

 残念ながら色んなキャラクターに背景を持たせてしまったために、一番大事にしないといけない主人公チームの背景、そしてそこから生まれるドラマが希薄になってしまった。それと音響に厳しいABCホールを使いこなせなかった感じも。俳優さんの声が音楽に消されてしまった所が何度かあり残念。たらればは禁物だがHEPHALLだったら…。

2月9日「ウチの親父が最強」
梅棒 HEPHALL

 ダンスユニット梅棒による東京に引き続いての大阪公演。前説以外はセリフ無し、音楽に合わせたダンスでストーリーを進めていく構成。

 青年時代の「ウチの親父」が嫁に出会い。→嫁の父親の許しを貰い結婚、兄と妹の双子を出産する。→しかし家が火事になり一家は貧乏に。→クリスマスプレゼントも買えない状況に偶然拾った犬を妹にプレゼント。→やがて妹は成長。痴漢に会ったときに助けてくれた青年とボーイミーツガール。→親父がヤクザ一味絡まれる。ヤクザが応援に呼んだのは妹が恋した青年だった。→犬を拉致したヤクザ一味はさらに罠をかける。ヤクザの嫁と媚薬(?)を使って親父を誘惑。現場を見た嫁が家 出。→親父落ち込む。→青年、ヤクザ一味と止めようと頑張る。犬を逃がすことに成功→やがてヤクザ一味と親父の一家が全面対決。ヤクザ一味が優勢だったが、犬、そして嫁が帰ってきて形勢逆転。→お互い和解。そして青年と妹が結婚し、出産、ハッピーエンド。というストーリーでした(兄サイドの受験失敗→落ちているエロ本にはまる。→最後には受験成功というサイドストーリーもあり)。

 いやー楽しかったなぁ。ジャズダンスやポールダンスといった芸が途切れなく続くので圧巻されっぱなし。それに笑いあり、泣きありとなるとケチ付けるところが何もないんだよなぁ。お芝居の評論において「他所がこうだったから」というのは無意味だし、多分しないと思いますが、でも「楽しさ」という点でこの公演を今年一年の基準点にしてしまうかもしれない、そのくらいのインパクトのある作品でした。

2月23日「第22回記念公演『ThE 2VS2』」
ThE 2VS2 インディペンデントシアター1st

 コントチーム「ThE 2VS2」による記念公演。7本あるショートコントの内「校門で待っている」「落語-69(ろっきゅう)さん-」「矛盾(ほこたて)」「交換日記」の4本が面白かった。全体的に下ネタ度は高めだったけど、しつこ過ぎない程よい塩梅だったのが良かった(69さんは濃厚でしたがw、それでも落語という芸として成立しているからアリ)。

3月1日「アッシュメロディ」
満月動物園 シアトリカル應典院

 「ちぐはぐ」。元々ファンタジー色の強いシュールな劇団さんではあるし、今作もそうであったんですが、新加入の西原希蓉美さんを使ってシュールさゆえの舞台と観客席との遠い距離感を詰め直そうとしたのがかえって「あだ」になってしまった気がするのです。遠くの方でチームとしての芝居があって、近くで西原さんの一人芝居を見たような気分。これらが一直線に繋がっていれば良かったんだけど、どこかバラバラにやっている感じが抜けず、どこにピントを合わせたらいいのか、最後までよく解らなかった。

 それだけ西原さんの存在感が素晴らしく、彼女の技量を楽しむという事も出来たけど、正直最初の一時間が限度。それに彼女が物語を締める役割なら「終わりよければ全てよし」に成り得たかもしれないが、ラスト前で退場。舞台をコントロールしていた人間に何故やらせないのか疑問(つかみは彼女の歌だったのでなおさら)。主役は観客が物語を追う道しるべだと思うのだが、何故排除してしまうのだろう。

3月2日「ミュージカルだヨ!?青春探偵」
たかつかまさひこのミステリー劇場 神戸アートビレッジセンター

 ほぼ一年に一度、神戸で行われる「青春探偵シリーズ」の第三弾。いい大人なのに青春青春と叫んでいる、若い女の子に目がない、そして人の心をのぞき見る特殊能力を持った西条青春(あおはる)探偵とその仲間達の物語。タイトルにはミュージカル、と出ているが「プリンセスプリンセスをフューチャーした音楽劇」と言った方が解りやすいと思う。プリプリをリアルタイムに体験した世代には懐かしい物があったのでは。

 いやー、おもろ楽しかった!これだけの関西演劇界の役者を揃えて、満席。それを神戸で出来たというのが嬉しい。物語の締め方としては「声の大きさ」と「歌」の力技で押し切った所は正直あった。だけどそれもひとつの立派な「芸」。きちんと客席に伝える事が出来たんだから不満は全然ないんだよなぁ。これがたった二回だけの公演というのが実に勿体無い。

3月15日「B&B」
JACKPOT 芸術創造館

 B&Bは「ベッド&ブレックファスト」の略。英語圏での宿泊施設の事であり、バックパッカー向けのゲストハウスと民宿の間くらいの施設らしい。

 舞台となるB&Bには不倫の関係のため妻から逃げている男女、対人恐怖症の弁護士、何故か物置部屋に住んでいる女性といった一癖ある住民ばかりが住んでいた。そこに長期のハワイ旅行を切り上げた女性が帰って来た。住民達と一悶着あった後、彼女は自分がこの家の持ち主であると告げる。実は留守をまかした女友達が家を勝手にB&Bとして運営していたのだ。そこで女主人は住民達を追い出しにかかろうとするのだが、彼らに別に事件が起きてくる…というお話でした。

 おそらく序盤の帰ってきた女主人と住民達の一悶着で笑いを取ろうとしたのでしょうが、彼らのバックボーンを知らされないまま話を進めてしまったが為に「異常な環境下に放り込まれた真面目な女主人」という面白さが成立できなかった。実は「別の事件」という切り返し方が面白く、後半からの引きこもりがちな住民が救われていく展開が良かったのですが、前半で笑いが取れなかった事が最後まで影響。起承転結の「起」がいかに大事かを実感。ちょっと勿体なかった。

3月16日「Jack Moment」
バンタムクラスステージ 萬劇場

 以前ブログで紹介しましたがちょっと追記を。
http://kconasu.otaden.jp/e310815.html

 この作品での主人公はジャック(信國輝彦)とフロッグ(土屋兼久)の二人という事になるんでしょうが、後になって思い返してみるとジャックは物語の導き手として、フロッグは物語の語り部として存在しているだけかのようで、自己主張も乏しくまるで透明人間のようでした(大阪版では彼らにもう少し人間味がありました)。こういったキャラは見ている側として乗れない、感情移入しにくい危険性があるのに、やりきったのは彼ら二人の力量と演出の凄さだと思った事を追加しておきます。

3月26日「男の60分 2014」
ゲキバカ 世界館

 面白かった!今回の公演はもちろん演劇ではあるんだけど、所属の伊藤今人さんが主宰しているストーリー性を持ったダンスユニット「梅棒」に近い世界感。物語も母親が亡くなったことで帰省した男が小学生時代の仲間達を思い出す、という感じで決して大きな物ではないんだけど、友達が貧乏、在日、障害であったことに気が付き、無邪気では居られなくなるほろ苦さがスパイスとして効いてたのはゲキバカとしての味付けの上手さか。ダンス、劇団としてのお約束、鍛え抜かれたボディを見せる事でお客さんを期待するものをきちんと提供し、決して飽きさせない作りになっていたのは流石!

4月5日「MISIN いつものお花のカーディガン」
苺町 トリイホール

 作・演出の大牧ぽるんさんがやっていた劇団しろっとそん(確か今休止中だったかな?)を見る機会がなかったので今回が初めてのぽるんワールド。面白かった!元々、少女漫画的な世界かな、と予想はしていていたんだけど、「かぼちゃワイン」のような男でも見られる少女漫画アニメ的な世界感で安心。アフタートークの受け売りじゃないけどオッサンの中の乙女心をくすぐるのがうまいw(お客さんも意外なほど男性が多かった)。

 前半コメディで後半本題に移る構成のうまさも堪能。その前半でもう少し「ツッコミ」を増やしてお客さんとの会話を増やしたらよかったかな?というのはあるけどダンスや前座の歌といった芸もしっかりしていたため、ショーとして十二分に楽しめた。1時間という短編であることとトリイホールという小屋の小ささも味方したと思う。ただそれは2時間の長編でもっと大きな小屋でもできるのか?という期待半分、いじわる半分の気持ちも。それを確かめるためにもまた見たいチームでした。

 本公演はこの作品と「あの日のチェックのロングスカート」という作品による二部構成だったんですが、「いつもの~」が良かっただけに「あの日の~」が見られなかったのが残念。

4月19日「リターン☆プラネット on stage」
baghdad cafe’ インディペンデントシアター2nd

 お菓子メーカーの社長が作った時代劇専門のスタジオ。しかしその社長も亡くなり、時代も移り変わったことでスタジオが閉鎖される事が決まる。映画主演が決まっていた☆子(すたこ)はあきらめきれずに周囲を説得。一ヶ月の猶予も得られたことから製作継続が決定する。そんな時、故郷の妹から母親が倒れたとの連絡が届く。☆子に思いを寄せていた男性へ断る方便なのか「故郷の星に帰る。」と言い出す☆子。ここから彼女が故郷の星へ帰省する奇想天外な第二部が始まる。

 凄い舞台を見た!普段は隠すインディペンデントシアター2ndの舞台奥や、脇の収納スペースもあえてむき出しにし、素のスタジオからスタート。物語が進むに連れてセットが組み立てられた…と思ったら第二部に入り一度リセット。現実と物語、そして物語の中の物語が交錯する不思議だけど楽しい舞台でした。フェリーニの映画「8 1/2」が好きな人にはオススメ。ここまで手の込んだ作品になるとお話が破綻して舞台の上で空回りする危険性があるんだけど、それがなく飽きさせない作りになったのは流石だなぁ。

4月20日「ほらふき王女バートリー」
ミジンコターボ HEPHALL

 ほらふき癖がある王女が戦争状態にある隣国の王子と政略結婚させられそうになる。それを嫌がる王女が発した嘘「泥棒さんに恋をした」が誠になってしまい、城に忍び込んだ泥棒に王女はついて行ってしまう。それと同時に大臣が戦争状態を止めるためにクーデターを企てる…というお話でした。

 おとぎ話的な世界観にダンス。これだけで楽しくなりそうな予感ありありだったのですが…、正直物足りなかった。王女と亡くなってしまった彼女の母親との関係が物語の主軸だったのに、魔法のランプをめぐる隣国との戦争とそれに疲弊する兵士達という政治色が出てしまった。前者がファンタジー色の強い「家族の話」だとすると後者はリアルな「家族の話」。こうなるとどうしてもリアルの方に吸い取られて主軸の存在感が薄くなってしまうと思う。多少無理矢理な物語でも力業で納得させるだけの役者さんとダンサーを揃えていただけに余計に残念。大人を意識せず子供寄りにしてもっとお祭り感を高めても良かったんじゃないだろうか?

4月26日「夏の盛りの蝉のように」
文学座 ピッコロシアター

 父親である葛飾北斎の影響から少女時代に浮世絵師を志し、北斎が亡くなると歴史から姿を消してしまうお栄(葛飾応為)の物語。それを彩るのは彼ら二人の元を時折訪れてくる歌川国芳、渡辺崋山。そして狂言回しとして北斎の弟子である蹄斎北馬(ていさいほくば)。

 彼らの交流があったかどうかは実際の所不明だが、歴史のifとして作られ、そして大いに楽しめた。北斎とお栄の物語は故・杉浦日向子さんの漫画「百日紅(さるすべり)」でも有名だが、この作品が好きな人には絶対にオススメ出来る。劇場には先生に引率された高校生らしい子供達が来ていたのだが、最近になってようやく評価が始まったお栄とはいえ、まだまだマイナーな彼女の話が分かるのか不安であったが笑い、笑いでかなり受け入れられていた。もちろん背景的な物を知っていればより面白く感じられたと思うのだが、そんな物無くても十分勝負出来た、という事。

4月27日「結婚しようよ」
The Stone Ageヘンドリックス トリイホール

 大衆食堂を営む夫婦から生まれた三姉妹。次女の結婚式をひかえ三人が実家の食堂に帰ってくるのだが、その次女がマリッジブルーで失踪。皆で彼女を捜しながら三姉妹それぞれが抱える結婚の悩みを描いた作品。

 毎度の事ながらここの劇団さんは安心して笑えて、安心して泣かせてくれる。どの作品でも中井正樹さんと本木香吏さんのキャラクターが同じというスターシステム(手塚作品のヒゲオヤジのように複数の作品に共通して出てくる事)を組んでいながら、毎回違う感動を与えてくれる事に凄いと言わざるを得ない。

 そのスターシステムの一つとして一明一人さんがオカマキャラ(もしくは「ぽい」)を演じる事が多いのだが、今作ではいつもと違い気弱な青年という新鮮(?)な役どころで、これを見られたのも嬉しかった。

5月3日「五月花形歌舞伎【昼の部】」
明治座

 市川染五郎さんが座長的立場の公演。
○義経千本桜(鳥居前)
 名シーンだけを見せる演目。歌舞伎の様式美とアクロバティックな面を堪能。
○釣女
 狂言をベースにしたお話。大名が美しい女を釣り上げて妻としたのを見て、お付きの太郎冠者は同じようにしてみるが醜女を釣り上げてしまう、という物。コメディとして、踊りとして楽しめた。
○邯鄲枕物語(かんたんまくらものがたり)
 お金に苦労している夫婦が茶屋を営むことを決心し引っ越ししてくる。そこに訪れた武士に妻を使って誘惑させ、それに乗った彼を脅迫する。慌てて逃げる武士だが大事な七福神の掛け軸が入った箱を忘れてしまう。夫はその箱を枕に寝てしまい、その夢の中でお金持ちになる事が出来た。しかしそこではお金の価値観が逆転しており買い物をしてもお金を受け取ってくれない。さらに大変な数のお金を使い切らないといけない状況に追い込まれ…というお話。伝統芸能の歌舞伎、というよりは普通に舞台として面白かった。

5月3日「オレンジ新撰組リターンズ」
6番シード シアターKASSAI

 元々1時間の短編として以前上演した物を長編として仕立て直した作品。ある農村でモテない男達がモテるために京で評判の新撰組になりきるために、たまたまあった南蛮渡来のオレンジを用いてオレンジ色の羽織を作成。オレンジ新撰組と名乗る。新撰組を名乗ったことでモテるようにはなるが、本物の新撰組に恨みのある攘夷派の連中に狙われる副作用が出てしまう。仲間を拉致されたことで本当に戦いに挑まなければならなくなったオレンジ新撰組の運命は…というお話でした。

 ちっぽけなニセ新撰組の物語でありながら大きく踊り、大きく殺陣をする舞台と世界観の大きさに驚くばかり。シアターKASSAIさんには申し訳ないが、こんな小さな劇場でやるのが勿体ない!と思ったほど。ただ実際に大きな舞台でこのスケールを維持した物を作ろうとしたら予算がいくらあっても足りないかも(苦笑)。結局元に戻ってKASSAIさんで正解。その点で目茶苦茶コストパフォーマンスがお得なお芝居だったと言える。

5月4日「美輪明宏版 愛の賛歌」
新国立劇場

 美輪明宏さん演じるエディット・ピアフとYOUさん演じる彼女の妹シモーヌ・ベルトーを中心にした舞台(ちなみにシモーヌは実の妹ではなく、「自称」だったそうです。劇中ではその説明が蛇足となるのを避けるためか妹で押し通したようです)。

 行ってみて驚いたのが第1幕80分、第2幕50分、第3幕60分の合計約3時間の舞台であったこと。これは最後まで飽きずに見られるかな?と不安だったのですが、大きな劇場でお金と経験をかけた舞台装置は違いますね。さらに要所要所で入ってくる美輪さんのシャンソンが舞台をグッと引き締める。特に第2幕の終わりでのタイトルにもある「愛の賛歌」は圧巻。

 ただ第1幕・第2幕が凄かっただけに最晩年のピアフと彼女の最後の夫となったテオ・サラボの話になる第3幕がオマケにしか感じなかったのは残念。ここはピアフは歌わず、テオがどちらかというと主役の話になり、テオ役の役者さんが美輪さんに代わって舞台をコントロールしないといけないと思うのだがまだ力不足の感あり。

5月10日「ゴーストシティ」
SPIC×青年団リンクRoMT エル・パーク仙台

 ハーフマラソン大会に参加するために仙台に行った時に、偶然やっていた公演。SPICとは「せんだい舞台芸術復興支援センター」の略で平田オリザさんの青年団の劇団内ユニットRoMTとの提携公演ということらしい。仙台を拠点にしている俳優さんが半分弱参加したそうだ。

 ギャリー・オーウェンという人が書いた作品の翻訳物でイギリス・ウェールズを舞台にした都会にある25の風景を続けて見せていく作品。映画「マグノリア」に似ている所もあるんだけど、それぞれの話に関連性はないし、最後に総括するようなオチがある訳でもない。何処にでもある街の中にある「語り」を追求した舞台。

 舞台を三方から取り囲む客席の作りがそれぞれ凹の形になっていて、そのへこんだところに役者が使う椅子を配置した事で役者は観客を、観客は役者を嫌が上でも意識せざるを得ない作りが緊張感を生んで面白かった。「語り」というのは役者と観客との会話という意味ととっていいかもしれない。演じる側と見る側の真剣勝負感が強いのは評価ポイント。

 ウェールズという日本人には馴染みのない場所で、日常にありがちな、決して劇的とは言いづらい物語は本来であれば退屈になってしまうはずなのに、舞台に緊張感を持たせることでそうさせない演出は流石。プロジェクターでカウントダウンするように25の物語のタイトルを映し出すのも「何時終わるのかゴールを見せる」点で効果的だったと思う。

 声にエフェクトをかける演出があるためか舞台用のインカムを付けていたんだけど、そこが舞台ならではのライブ感を損ねている感じがしたのが残念。やろうと思えば生の声で勝負出来たと思うんだけどなぁ。

 役者さんで印象に残ったのは一人で何役もやっていたので間違っているかもしれないのですが、おそらく菊池佳南さんという女優さん。ツッコミというか舞台と観客の橋渡しが出来る能力がある。

5月31日「Copyright.」
アリスインプロジェクト(月組) シアターKASSAI

 アイドル達を集めた演劇ユニット。毎回いろんな劇団さんから演出家・脚本家を招聘して公演を打つスタイル…らしい(アイドルにまったく詳しくない)。今回はバンタムクラスステージの細川博司さんによる作・演出。

 地球外生命体へのメッセージとして取り付けたパイオニア10号・11号の金属板に対する返事が送られてくる。彼らの返事は「コンタクトする者は『人類の叡智』を示せ」そして「それは2020年である」ということ。各国が議論した結果「人類の叡智」を示す物は「聖書」。しかし聖書の製作者も著作権もないようなもの。この状況下で戦争という形で決着を付けるわけには行かない。そこで考え出されたのはそれぞれの国から代理人、それも少女を立てて戦わせるという物だった…というお話。

 「少年ジャンプ」的な世界観で大いに楽しめた。他の人のツイッターでの感想をお借りすると「考えるな、感じろ!」。この一歩間違えると中二病と言われかねない格好良さを理屈は置いておいて楽しむべし(なんか「パシフィック・リム」の話をしているようだ)。

 正直ポテンシャルという点では演技経験の少ない人がほとんどだったために(中にはこれは初めてという人も)演技経験が豊富なお姉様達がいるとはいえ、60点くらいしか持っていなかったと思う。しかしそのお姉様達が「上手いプロレスラーはほうきとプロレスが出来る」という例えのように上手く倒し、上手く倒れてくれていた。さらに必要最低限の殺陣に留めたことで(下手な人が殺陣を頑張れば頑張るほど残念な結果になってしまうから!)舞台がチープに感じることが全くなかった。演技経験が少ないという「伸びしろ」が大きいということもあって60点が1.5倍まで引き上げられていたんじゃないだろうか。

6月28日「子供の時間」
スターダス・21カンパニー 阿佐ヶ谷アルシェ

 1934年にアメリカで初演された作品の翻訳劇。後にウィリアム・ワイラー監督、オードリー・ヘプバーン、シャーリー・マクレーン主演によって「噂の二人」として映画化されている。

 旧友であるカレンとマーサは一緒に女子寄宿舎学校を運営していた。女学生の中でわがままで虚言・仮病癖のあるメアリーに手を焼く2人。やがてカレンはメアリーとの親戚であるジョンとの結婚を発表するがマーサが嫉妬を起こしたこと、そして教師をお願いしていたマーサの叔母リリーがこの嫉妬が原因でマーサと一悶着起こしたことを生徒達に聞かれてしまう。

 度重なるトラブルにペナルティーを与えられたメアリーは寄宿舎を脱出。メアリーの祖母でここのスポンサーでもあるアメリア・ティルフォードの元を訪れる。孫かわいさで歓迎するアメリアだが、このままではいけないと判断し寄宿舎に送り返そうとするが、メアリーはこのままでは不味いと思い、マーサが嫉妬した件からカレンとマーサが同性愛の関係であるとねつ造してしまう。これに驚いたアメリアは寄宿舎の活動を止めさせるが、ジョンのメアリーへの尋問によって嘘が発覚する。しかしメアリーは事前に脅迫していた女の子を使い2人の関係を見たと証言させることに成功してしまう。最終的に裁判に持ち込まれるのだがここでもカレンとマーサは負けてしまう。誰も居なくなった寄宿舎で暮らす2人の進む道は…というお話。

 翻訳劇では観客に時代、背景、名前等々を理解・把握させるのに余計に手間がかかりがち。このお芝居でもこの問題にぶち当たっていました。出だしは賑やかな学校の風景となるのですが、その後物語に大きく関わることのないモブキャラが必要以上に前に出てしまい誰が主要キャラなのか見えなくなってしまった。既に出来上がっているホンなのでいじれない事情もあるのでしょうが、ここは見せ方に工夫が必要だったと思います。キャラがつかめてからは物語にグイグイ引き込まれて面白くなってきました。

 ただカレンとマーサが世間から隔離される事になる終盤はどこか停滞感が。「掛け堕ちる」感じが欲しかった。疲弊している様子を出したかったのか声が小さいこともあって舞台が遠く感じた。  
Posted by 天野"kevin"達也 at 22:45Comments(0)演劇

2014年05月03日

(多分)9年ぶりに歌舞伎を見る

 明治座にて歌舞伎を見てきました。多分9年ぶりじゃないのかなぁ。本当は新しくなった歌舞伎座で見たかったのですが、すぐに満席となったために明治座を選択。でもこっちの方が堅苦しくない演目で良かったかも。


  
Posted by 天野"kevin"達也 at 16:15Comments(0)演劇

2014年03月18日

バンタムクラスステージ「Jack Moment」観劇

 さて先日日曜日に劇団バンタムクラスステージさんの舞台「Jack Moment」を見に行ってきました。2011年に大阪を拠点にしていた時の作品の再演となります。

 1960年代アメリカ・シカゴ。物語は時計屋のフロッグ(土屋兼久)の独白で語られる。会計士のジャック・モーメント(信國輝彦)は顔も見たことのない母親から200万ドルの価値がある株式を相続したことを知らされる。突然大金持ちになった事に浮かれるジャックだが、一転街を牛耳るイタリア系ギャングに拉致され相続した株式を譲るように脅迫される。しかし相続の条件として1年間の期間を置いてから貸金庫が開かれる事を聞かされたギャングは仕方なく解放。元警官で手先に成り下がったダニー(福地教光)を監視に付ける事にする。

 送り返す最中にダニーはジャックからある計画を持ちかけられる。それは所属しているギャングを裏切ることになる事になるのだが、彼女が抱えた借金がある事情から乗ることになる。やがて潰れかけのボクシングジムの連中や元自動車泥棒、そして時計屋のフロッグを仲間に入れてその計画を実行するのだが…というお話でした。



 いやー今回も面白かった!両方見ていない人に上手く伝えられるか不安だけど、大阪版が16:9の字幕付劇場映画だとすると、今回のは4:3のブラウン管テレビで見る吹替映画、という感じ。でもそれは決してダウングレードした訳ではなく、今使える役者さん、お客さんの求める物、劇場のサイズに合わせて別の面白さを引き出してきた。コメディ要素も加わった所にも好感。今回、役者さんに声優さんが多く参加したためなのか吹替映画(もしくは漫画・アニメ)ぽく過剰に演じる所があり、多分そこが気になる人がいたとは思うのですが、これはこれで僕は好きでした。

 で、どちらのバージョンが好きか?と聞かれたらちょっと逃げもあるけど「どちらも好きです」としか言い様がない(苦笑)。確かに大阪版の方がハードボイルド的でサスペンスのドキドキ感は高かったと思うのですが、「映画的」と言われ続けてきたバンタムクラスステージがより演劇的になった東京版の良さも認めたい。人によるでしょうが見やすくなった面も良し。それより比較することよりも劇団が東京に移転して以前の良さだけに頼らず次のバージョンとして進化していていることが何より素晴らしい。

 役者さん達で印象に残ったのは出番は少ない物の物語の土台として支えた「おじさん」達、ガラかつとしさん、上杉逸平さん、徳永健治さん、そして久しぶりの舞台となった声優の宝亀克寿(ほうきかつひさ)さんの四人を挙げたいです。  

Posted by 天野"kevin"達也 at 00:30Comments(0)演劇

2014年02月13日

2013年観劇下半期記録

7月6日「Evergreen Online/EDIT」」
ALTERNAIT produce インディペンデントシアター2nd

 シアターシンクタンク万化で2006年に上演された作品にリライトを加えた物。主人公がふとネットカフェに立ち寄り、始めてみた無料のオンラインゲーム。そのオンラインゲームはパソコンの空いている能力を製薬会社に提供することで新薬の開発に役立てることで収益を上げるシステムになっていた。やがてこのオンラインゲームにはまりだした主人公はゲーム内の仲間も出来、それが現実社会での仲間にもなっていくのだが…というお話でした。

 今関西にある素敵な役者・衣装等々を集めた作品。オンラインゲーム内のキャラクターと現実社会のキャラクターが平行して登場する、複雑な構成でありながら物語に入り込みやすい。凄かった!

 ただオンラインゲームとパソコンの空き能力を使う設定は初演の06年にはその時代のゲーム・ネット環境にマッチした話であったと思うのですが、13年の今となると古さ、とまではいかなくても賞味期限ギリギリの感も。ここに関しては「今か?」という思いと「今のうちにやっておいて良かった!」という相反する複雑な思いを持って見ていました。

7月28日「INDEPENDENT:SND」
エルパーク仙台

 「駆込み訴え」と「次の場所までさようなら。」はさすが招待作品だけあって凄かった!「駆込み訴え」はユダが「あるところに」に訴え出てイエス・キリストを賛美しつつも非難する独白形式の太宰治作品を舞台化した物。これが面白かった!サラリーマンスーツとぬいぐるみを使って最初はコメディ的に進めていくのですが(これがつかみとして最高)、次第にこれがイエスの世界であることが見えてきて深い話に入り込んでいくのが素晴らしい。原作を知らない方がビックリ度が増しておもしろいんじゃないかな?「次の場所までさようなら。」は2012年の「INDEPENDENT:TSU」から二度目の観劇。今回も面白かったんだけど作品の性質上、詳しい感想を書いた方がいいのか、どうなのか。ネタバレしない方がこれから見る人のためにいいんだけど、とはいえ時事ネタがあるために再演の可能性は限りなく薄いし…。すいません、今回はコメントパスしますw!

 地元仙台からの参加作品「無敵拳コマツ」と「BIG MAMA」は仙台演劇のレベルの高さを見せて貰った物の、もうひと味が足りなかった印象。「無敵拳コマツ」はサラリーマンが突然怪人に襲われ、ヒーローになっていく、というお話。前半は「おおっ!」と期待させる内容だった物のちょっとまとめきれなかったかなぁ。「BIG MAMA」はマツコデラックスさんのような肉じゅばんを着た男性がスナックのような場所でお悩み相談をするうちに自分の問題をさらけだすお話。こちらは最初と最後が格好良かったんだけど、彼女(彼?)へ共感するためのキャラ付けが足りなかった気がします。ここが出来ていればラストの全てを脱ぎ捨てて素に戻るところがより素敵になったと思うのですが。

8月4日「スローなブギにしてくれって言ったのに」
殿村ゆたか劇場 コモンカフェ

 5人編成のジャズバンドを入れた音楽劇。昭和歌謡の歴史を西原希蓉美さん演じる女性の人生に絡めた物語。カフェでの公演なので役者さんやバンドとの距離感が近く芸を、特に西原さんと有元はるかさんの歌の上手さを受け取りやすいのが嬉しい。ストーリーはやや唐突に解決してしまった感があったのでもうひとワンエピソード欲しかったけど、それでも満足感は高め。

8月10日「バイバイ」
よろずや ABCホール

 広島カープの「炎のストッパー」こと、津田恒実(恒美)投手を描いた舞台。90年に脳腫瘍が見つかってから92年に亡くなるまでの彼と彼の家族、そして広島のチームメイトを描いた物語。津田さんの話は有名なので最後、どうなるのか解っているのに泣いてしまいました。主演の寺田夢酔さんは竹野内豊さん似のイケメンなのに弱気と、それがゆえにガンガン投げ込んでいく津田さんへの化っぷりは見事。また広島のチームメイトを演じた皆さんに対しても拍手。

 残念だったのは入院中、ベッドに寝ている津田さんの出番が終わって暗転し、ベッドごと引き上げる所で押している看護婦さんの(よいっしょ!)という心の声が聞こえる所。「無」の存在なのにそっちが気になってしまう。この作品は何度も再演される作品でしょうから改善して欲しいポイント。

8月31日「アリゾナ☆侍☆ガールズ」
UDAMAP シアターKASSAI

 6番シードの宇田川美樹さんによるソロプロジェクト。と、言っても作・演出は6番シードの松本陽一さんだし、集まった役者さん達は6番シードに所属、もしくは客演経験がある、ここのファンならば馴染みの顔ばかり、ということで事実上6番シードの番外公演と言ってもいい作品になっていました。

 タイトルにあるとおり西部劇の時代のアリゾナに何故か侍がいるというお話(それも女性ばかり!プラスおかま一人に男一人)。ドタバタコメディーと殺陣で構成されており、ストーリーは正直あって無いようなキャラクター勝負の世界w!でもおもろ楽しかった!6番シードさんの公演となると「ホームラン」を求められがちなのですが、今回は番外ということで力を抜いて、でも「ホームランバッター」の技術はきちんと生かした「犠牲フライ」を打ってきた感じかな。「アウトだけどきちんと一点入れたよ」という雰囲気。

 しいて問題があげるとすれば、終盤ちょっと引っ張りすぎたかな?(良い意味で)グダグダなストーリーには二時間はちと長いかも。でもフォローじゃないけど、これで二時間やれたのも凄いんだけどね!

9月7日「BUMP!」
ステージタイガー 道頓堀ZAZA HOUSE

 2012年はマラソンをテーマにお芝居を作ってきたステージタイガーさんが久しぶりにプロレスに挑んだ作品。舞台はウラン鉱山開発で沸く集落。そこの高校にあるプロレス部は賑やかに過ごしていた。時は流れウラン残土をめぐり鉱山側と環境団体側の争いが起きる。プロレス部の部員達の立場も変わり仲間ではなく敵として再開する事になった…というお話でした。

 3.11以降映画・演劇といった様々な表現媒体で原発問題を取り上げられたと思うのですが、今作のような「誰もがそれぞれの事情を抱えている」という所に踏み込んだ作品というのは希有(けう)じゃないのかなぁ。単純な善悪で割り切れない世界感で描いているのに好感。

 それとステージタイガーさんは小野愛寿香さんと谷屋俊輔さんという二枚看板のイメージが僕の中で強かったのですが、今作では今までの中でチームとして良くまとまっていた印象が。あえて小野さんを外して(製作サイドに回っていたようです)突出しないようにし、若手のレベルアップも出来た事でチームとして仕上がった、のかな?

9月15日「8ビットの日々」マイコンからファミコンの頃・セガからプレステの頃
シアターシンクタンク万化 インディペンデントシアター1st

 シアターシンク万化久々の公演。ここを母体に派生した「バンタムクラスステージ」や「はちきれることのないブラウスの会」を何度も見に行っているので始めて見るという事は自分でも意外。ファミコン編はマイコン好きが高じてBNKという会社を立ちあげファミコンソフトに参入するまでのお話。プレステ編はそのBNKが成長し、成長したが故に突き当たる困難についてのお話でした。

 よく練られた素晴らしい脚本でしたし、事実上3時間10分の大作を作り上げたことには拍手なのですが…。一番残念だったのは「笑い」というサブエンジンが不調だったこと。ドラマのメインエンジンが良かっただけにそこまでのつなぎとなるサブエンジンが上手く行かなかったのは勿体無い。一番盛り上がる所に行くまで待たされた感あり。

 それとこのお芝居の売り方にも疑問。事前にはファミコン編が前編、プレステ編が後編というフライヤーでは告知がされておらず(HPではされていたようですが…)、僕はこの二つをバージョン違い程度に思っていたので、同じような理由で片方しか見に行かなかった人もいたと思うのです。この物語は両方見ることでコンプリートする訳だし、ファミコン→プレステの順で見ないと意味が無い。見に行って実体が解る、サプライズ的な仕掛けをしたかったのも解るんですけど、あまりに手の内を見せなさすぎなのもどうかと。

 河口仁さんの暗闇の中「シーッ」とする色気のある演技を見ることが出来たのが僕の中での一番の収穫。

9月21日「I.W.G.P」
TANGRAM シアターKASSAI

 映画「ソウルフラワートレイン」を見に行くまでの時間つぶしとして見に行った公演。残念ながら舞台の中だけでお話が回っていて客席まで響く物が何もなかった。途中で帰ろうとしても出入り口まで使っているので帰るに帰れない。お金は仕方ないけど時間は返して欲しかった。

 とはいえ時間つぶしにはなった訳で…。それだけがポジティブに語れる所か。

9月28日「バンドやろうぜ!」
The Stone Ageヘンドリックス TORIIHALL

 チームワークの良さをいつも感じるThe Stone Ageヘンドリックスさん。今回はコントやります!という話だったのですが、失礼ながら(?)そう見せかけて置いて実はドラマがあるんじゃないかと思っていたんですが…本当にコントだけでしたw!いや、厳密に言えば「演劇に対して厳しい検閲がある世界」という前振りがあり、そこで演劇に行ったりコントに戻ったりとあったのですが、その前振りもコントをやりたい言い訳でもあったのかな?

 コントだから「めちゃくちゃ面白かった!」としか言いようがないw!ここのチームワークはやっぱり安心できる。

10月13日「福喜多さんちの三兄弟6」
劇団925 インディペンデントシアター2nd

 一部DVDやユーストリーム放送が混じっている物の全部見ている「福喜多さんち」シリーズの最新作。今回のゲストはテノヒラサイズの湯浅崇さん。フライヤーにあった湯浅さんのムンクの叫びよろしくホラー的な要素はゼロで、結局いつものほのぼのファミリードラマだったのが嬉しいような、それはそれで見たかったようなw。

 家族の一日をそのまま描いたような作品で、毎度大きな事件も大きなオチもある訳じゃないんだけど、中西邦子さんを始めとする「ほわっと」とした雰囲気に身をゆだねてしまう作品。今回は湯浅さんのキャラクターも生きてシリーズの中で一番面白かったんじゃないかなぁ。お客さんとして来ていた子供達のウケも良かったし。

10月19日「JFK」
製作委員会 心光寺

以前ブログで紹介したので省略。
http://kconasu.otaden.jp/e297331.html

11月4日「HELLO HELL!!!」
子供鉅人 HEPHALL

 結論から言うとつまらなかった。すごいと思ったのがバックバンドの人たち、という事がとても悲しい。舞台で何を喋っているのか解らない、役者が多すぎて物語の核になる主人公の存在が薄くなる、歌を歌うにしても大した歌唱力じゃないからバックバンドに負ける、誰も見たことのない地獄の話だから共感できる所が何もない、等々。これでは「役者いらない」という事になっちゃう。それが本当に悲しい。技術でも色気でも何でも良いから「芸」を見せてくれれば…。結局「芸」を持っていたのはバックバンドの皆さんと言うことか。

11月10日「テロリストは山手線に乗る」
青年座 青年座スタジオ

以前ブログで紹介したので省略。
http://kconasu.otaden.jp/c8275.html

11月23日「INDEPENDENT:13」
インディペンデントシアター2nd

a「short stories」いいむろなおき
 パントマイムでお馴染みのいいむろなおきさんによるマイム劇。まずはお馴染みのマイムでお客さんをつかんで、地球の生命の誕生から、海、陸、恐竜、猿、人間へと進化。そこから人の物語になり狩り、戦争。そして猿から恐竜へ、生命の誕生に戻っていく。

 いいむろさんのマイムが見られるだけで幸せになれるのに、そこに壮大な生命の物語が加わったら無敵なんだよなぁ。今回は師であるマルセル・マルソーの兄弟弟子という見方も出来るマイケル・ジャクソンも披露。感激。ただ感激。

b「すみれほどなひと」石原正一
未見

c「10周年孤独乱交パーティー」一瀬尚代
未見

d「THIS IS 一人」一明一人
 台本が当日まで間に合わなかった、という提で始まる一明さんの即興風お芝居。一明さんの今までの役者人生を振り返る面もあり自分を大きくさらけ出した事と、演出側が一明さんを良く理解している事に拍手。その中には「バンタムクラスステージ」で演じたキャラも出てきたりと演劇ファンには「ニヤリ」とさせてくれるポイントも(「須川さん!」はちょっとコア過ぎるネタだったかな?僕は大好きだけどw)。

e「ウィザードリーマン・ビギンズ」岸★正龍
 素人童貞を40歳まで引っ張ると魔法使いになる、というお話。これは物語というより、「魔法使い」になるまでのプロローグというべきか。だから「ビギンズ」。岸さんがまた気持ち悪い主人公を演じているんだよなぁ。その上にラストに岸さんが持っていたある「芸」が生きてくるのも凄い。脚本の二朗松田さん作品は「ネタ」感が強く、それはそれで楽しかったんだけど、今作は一本の「作品」!

f「ヴァニシングポイント」椎木樹人
 この「一人芝居フェス」において舞台だけでなく、客席・通路・DJブース(「一人芝居フェス」では3~4演目ごとのブロックとブロックとの間の時間つなぎの意味もあり、あるんです)まで使った人は初めてなのでは?実際にガンになり、その闘病記を残した故・奥山貴宏さんの小説を元にした舞台。死と生の境界線で緊張と緩和を繰り返すテンションとプレッシャーの高い作品でした。

g「約二人の女」田中良子
 成功した舞台役者(?)が次の世代の役者におびえ、鏡の中の自分にぶつけていく話。「パーフェクトブルー」や「ブラックスワン」的な世界。物語の雰囲気からすると「ベテラン女優」という印象を受けたのだが、それと田中さんの若さがミスマッチ。さらにパントマイムやダンスの素養も求められる演出なんだけど…なんか足りない。脚本はいい物ですが、「今の田中さん」には合わないと感じました。

h「ねぇ、ムーちゃん」ナガムツ
 目茶苦茶面白かったのにシュールすぎてどんな内容だったか思い出せない…(笑)。ナガムツさんのキャラを上手く引き出して目茶苦茶面白いなぁ、と思ったのは覚えているんだけど。

i「あのとき」泥谷将
未見

j「独楽アイソレーション」松本茜
 寝ていました。

t1「僕の曲がり角」周藤寿英
 予選会から話題となっていた作品。小学生が転校を繰り返すが何年経っても同じ学年に。その謎は彼の出生の秘密から来ていた、というお話。周藤さんは実際に小学生で等身大のキャラクターを演じたことで話と役の説得力がグッと増した。「今の彼」のために作られた作品を目撃出来た事が嬉しい。ただ彼の両親が訳あって暗殺されるくだりは、その後彼が生き続ける事が出来た理由が求められてくるので、そこまでやらなくても良かったかも。

t2「シロとクロ」米山真理
 連れてこられた犬との出会いから、その犬が入院、そして帰ってくるまでの子供の物語を可愛らしいラップで表現しきった作品。ラップなのでセリフの全てを受け取れた(聞き取れた)訳じゃないんだけど、それを補って余りある「芸」になっていた。音楽のノリの良さもあってお客さんを最初から最後まで味方にしていた印象。

 全作品を見られなかったのですが、面白かった作品に共通して感じたのは「演じた役者さんの技術・良さ・特徴等を上手く引き出した」所。ですが「ヴァニシングポイント」だけは役者さんが持っていない物を表現して見せたと思います(もしかしたら椎木さんに大病の経験があったかもしれませんけど)。「INDEPENDENT:13」で一作品上げるとすれば「ヴァニシングポイント」です!

11月30日「ドクトルクノック」
劇団往来 一心寺シアター倶楽

 僕がいつも観る小演劇のお芝居は若手中心の物が多いのですが、この劇団往来さんはベテランの役者さんが多く所属しており、そういった方達のお芝居を観るのは新鮮でした。結成29周年だそうですよ!

 もともとフランスで1923年頃に書かれた喜劇だったものを、舞台を大正時代の大阪に移し替えた作品。村のお医者さんが奥さんの病気を理由に医院を手放す事になる。その引き受け先のドクトルクノックは無免許医だった。開業早々チンドン屋に宣伝させるわ、無料診断は始めるわと異例づくめの商売戦略に医者にかかる事に慣れていなかった村の住民は医院に我も我もと通う事になり、クノツクは名医の評価を受けることになる。それを知った前任者の医者はある提案をするのだが…というお話。

 ホンの古さは確かにあるんですが、面白かった!お客さんに年配の方が多かったためか笑いの沸点が高かったのかなぁ?もっと笑いが起きても良かったと思うのですが。当時の医院や旅館を模したセットも素晴らしい。不満らしい不満をあげるとすれば要はクノックは詐欺師なのに、胡散臭さが薄く、その彼に踊らされる住民達の滑稽さが欲しかった所。

12月1日「Dear Friends」
6番シード 劇場MOMO(中野)

以前ブログで紹介したので省略。
http://kconasu.otaden.jp/e304130.html

12月7・8日「クロッシングクリスマスクリアランス」
バンタムクラスステージ シアターKASSAI

以前ブログで紹介したので省略。
http://kconasu.otaden.jp/e305269.html


12月15日「夜が来るまえに」
劇団ほどよし トリイホール

 殺し屋が漂着、自らの身の安全を確保するためにとある一軒家に忍び込むが、そこの住民は殺し屋が持つ銃に怯えるどころか、いきなり人手が足りなくなった芝居に出ろと言い出す。やがて事情を問いただすとここは死者達が一時的にとどまる所で、とどまるための労働として人の夢を描くために芝居をしているのだという…というお話でした。

 うーん、死後の世界は自由に書ける一方で、誰も見たことがないため感情移入出来るまでのハードルが実は結構高い。今作もこのハードルに苦労してしまったようです。物語の世界を説明するのに時間をかけすぎてしまったと思います。終盤のドラマの持って行き方はいいのですが、もし「この説明」を手短にし、ドラマの前振りをもっと丁寧に積み上げていけば、もっと良い作品になり得たと思うのですが。

 それとここの劇団さんは若手俳優さん達の育成の面も担っていると思うのですが、役者さん達にチームとしてのまとまりを意識しすぎているのか目立とうという欲が欠けているように感じました。まだ役者が役者の方しか向いていないという感じ。チャレンジした上での「良い失敗」を恐れないで欲しい。そうすれば舞台と客席の間にある壁を壊せるはずだから。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 さて短編も含むと2013年は52作品見てきた訳ですが(同じ作品を二回見たり、前後編を一作品にした作品もあるのでカウントの仕方次第で増減すると思いますが)、その中で「もう一度見たい!」と思う作品を12本あげました。はいそうです。10本に絞れませんでした(苦笑)!

○「チェーホフの銃」バンタムクラスステージ&匿名劇壇(短編)
○「ごんべい」ゲキバカ
○「LINX’S Non Stop to TOKYO」での梅棒によるパフォーマンス
○「ハーメルンの記憶」バンタムクラスステージ
○「おおきないし」The Stone Ageヘンドリックス
○「凍れる夜」May
○「Call me Call you」6番シード
○「駆込み訴え」小林エレキ(yhs・一人芝居)
○「バイバイ」よろずや
○「ヴァニシングポイント」椎木樹人(万能グローブ・一人芝居)
○「BUMP!」ステージタイガー
○「テロリストは山手線に乗る」青年座
  

Posted by 天野"kevin"達也 at 12:05Comments(0)演劇

2014年01月26日

6番シード「Dear Friends」再び!

 東京の劇団「6番シード」さんの公演「Dear Friends」が大阪にやってくるというので東京に引き続き行ってまいりました!旭区の芸術創造館に!




 東京公演の時に書いた感想ではその後の大阪もあったのでネタバレにならないよう具体的な事は触れなかったのですが、今日で全公演が終わったのでもう書いても大丈夫ですね。ボロボロのアパート「メゾン・ド・ピクルス」にある売れない漫画家「哲学先生」(樋口靖洋)の部屋が舞台。名前の通り哲学を語り面倒くさい人でありながら大家や住民達が集まる場となっていた。そこに彼の漫画にあこがれ、弟子入りを希望する常地(藤堂瞬)が入居してきてアパートはさらに賑やかになる…というお話でした。




 いつもの6番シードさんの公演では客演(ゲストの役者さん)を多く呼び、映画的な賑やか、かつ華やかな物になっているのですが、今回は劇団員7人+日替わりの客演1人という非常にシンプルかつ、演劇らしい作品となりました。各キャラクターも演じる人の延長線上にあるような感じでしたし、次々と新入居者が入ってくるという流れを見ても「今の6番シード」そのものを芝居にしたという印象を持ちました(元々東京公演は劇団20周年の締めくくりという作品でした)。さらに客演の皆さんも過去の6番シードさんの作品に関わったことのある人だけになっているはずで、それこそ「メゾン・ド・6番シード」だったなぁ、と思ったのです。

 その客演の役者さんの使い方も挑戦的で、実は前半と後半の間にちょっと出ておしまい、というのを想像していたのですが(過去公演「ボイスアクター」もこのパターンでしたので)、芝居始まってすぐの大きく笑いが取れる「つかみ」の所と、終盤に現れ、物語を締める「泣き」の部分を任せる、裏主役とも言える大事なポジションだったのには驚かされました。東京公演の時の感想で「可能ならば全バージョン見たい」と書いたのですが、ここに凄さを感じたからなんです。客演の役者さんが変わることで別のお芝居になるんだから。前述のとおり過去公演で組んだことのある役者さんしか使わなかったのは、気心が知れた仲じゃないとやれない、という理由もあったんでしょう。小さな物語だったけど、試みは大きかった、そこに惚れ込みました。

 作・演出の松本陽一さんと終演後ちょっと話をさせて貰ったのですが、主演の樋口さんの受け入れが東京よりも大阪の方が良く、客席の暖まり方が早かった印象を持たれたそうです。これは僕も同意見で、「哲学先生」の名前の通りかなりエキセントリックなキャラなので東京ではちょっと不安な立ち上がりになっていたのを覚えているのですが、大阪では自然と入ってきたからお芝居はホント、不思議。これは吉本新喜劇を見ている大阪のお客さんの風土によるものなのか、大阪向けにチューニングしなおした演出の良さなのか、樋口さんの成長が大きかったのか。…すべてかな(笑)。



 最後に個人的な話になるのですが、同公演の山場と言える所に花*花の「さよなら大好きな人」が流れてくるのですが、実はこの曲を作詞作曲したこじまいずみさんとは小・中・高と同級生で、なおかつこの「大好きな人」である彼女のお祖父さんの事も知っているという環境下に僕がいたので、この曲に対して普通皆さんがやったであろう自分の友達や身内を亡くした事を重ね合わせて感情移入することが出来ず、良い曲以上の感情を持てないままでいたのです。しかし今回、この曲が流れた時に「ぐっ」と来る物がやってきました。ようやく13年経って泣かせてくれた事に、客の僕から言うのもちょっと変な話ですがこのお芝居に感謝したいと思います。  

Posted by 天野"kevin"達也 at 22:41Comments(0)演劇

2013年12月09日

バンタムクラスステージ東京公演観劇

 大阪を拠点にしていた劇団「バンタムクラスステージ(以下、バンタム)」さんが東京に拠点を移しての初めての公演、「クロッシングクリスマスクリアランス(以下、クロッシング)」を見に池袋に行って来ました。



 2000年のアメリカ、ボストン。ゲーム企業のCEOとして成功したアルフレッド・ハイネはかつて父が経営していたオモチャ屋を買い戻す。彼の伝記を書くために行動を共にしているクーリッジと彼の息子フィルを連れてかつての倉庫に入ると人形が三体、放置されたままになっていた。自らの、そして父と兄とこの人形たちの思い出を語り出す。やがて舞台は彼の少年時代である1960年代に移ってゆく…。

 オモチャ屋の倉庫でクリスマス・セールの準備をしているユダヤ系のハイネ一家。この倉庫には「なにやら良くない事に使われている」奥の部屋があった。この事を許している父イブラヒム(上杉逸平)を軽蔑し、オモチャ屋を継ぎたいと思っているアル(栞菜)が成長したときに「この部屋」が妨げにならないようにどこかに移転させたい兄レナード(福地教光)は「この部屋」を利用しているアイリッシュ・マフィアのニール(ガラかつとし)の元で働くようになる。簡単な借金取りの仕事から始めたレナードだったが人望があることから次第に頭角を現し出す。やがてイタリアン・マフィアがシカゴからボストンに勢力を広げだしたことで街の闇勢力のバランスが崩れ出し、レナードとアルの運命は大きく動き出す…というお話でした。



 良質のエンターテインメント!最高!バンタムさんはノワール(闇社会)でドライな世界観が売りだと僕は思っているのですが、今作ではアル、及び彼の友達といった無垢なキャラクター、そして三体の人形達との会話というファンタジーが出てきた事でウェットの面が増えた事によりちょっと新しいバンタムを見ることが出来ました。その一方で今作と同時代のシカゴを舞台にした過去作品「ジャックモーメント」の姉妹編とも言える作品にもなっており、この作品に出てきた残忍な「カレンダー」というキャラクターが出てきたりしたので、長年のバンタムファンにも嬉しいポイントがありました。個人的に「押し」のキャラクターはドヰタイジさん(スタージャックス所属)演じるヒューズ。前述の通り今回はファンタジー要素があるので、いつものバンタム作品のような「税金を払い、飯を食らう」実在感のある大人がやや希薄になったのに対し(あくまで主役はアル達ですし)、このヒューズだけ少年時代からのバックボーンをきちんと語ったからなのかな?

 ちょっと「あれ?」と感じたのは脚本の段階では笑いを想定していたと思われるところで、その反応がややウケ、もしくは無かった事。今までのバンタム作品では笑いが起きない作品がほとんどだったので観客側も準備できずに反応できなかった面も否定できないのですが。個人技でそれを持って行っても良かったかもしれませんが、それをすると世界観が崩れる可能性もあるからチームワークでやるしかない。そのチームワークで笑いを生み出すまでの時間がなかったのかな…。ここも出来上がっていればより上の作品になれていたと思うのですが、そこは作品を作りあげる苦労を知らない勝手な希望かな。



 この公演では本編である「クロッシング」と番外編である「クロッシングマナーズ」がありました。この作品は「クロッシング」内ではさらっと終わっていた事が実は大変な事になっていたという物で「語られなかった『クロッシング』」という作品。本編と番外編とのリンクがあまりに見事だったので安易にスピンオフという言葉を使いたくないくらいの出来、だったのですが…。作・演出の細川博司さんによると「タランティーノ作品のようなコメディ」を目指していたそうです。これは「当の本人は大まじめなんだけど、周囲や設定がズレを起こしたことで振り回される」事の面白さを狙った…と思うのですが(ちょっと自信ない)、僕が見た「クロッシングマナーズ」の回は千秋楽だから、ということなのか役者さん達がアドリブをやることで笑いを取っていました。確かに楽しかったのですが、このように個人技に走ると前述の通り作品の世界観を壊してしまうので僕は感心しません。このようなお遊びはあらかじめ告知しておくか、もしくはファンイベント向けにやるべきだと思います。結果的に上手く転んだので良かったとは思うのですが…。

 大阪で共に活動していた、気心知れた役者さんを極力使わず、初めての東京の役者さんを使ってもやれることを証明した一方で色んな課題が見えてきた公演だったと思います。ただこの課題は間違いなく次回公演で今作「クロッシング」と世界観を共有する「ジャックモーメント」で生かされる事でしょう。来年の3月12日から16日までの公演を予定しているそうです。

 そうそう、実は解る人だけには解るお遊びが隠されていたんですが、見た皆さんはお気づきだったでしょうか?ヒントは主人公アル、終盤に出てくるバーニー、そしてクリスマスです(笑)。  

Posted by 天野"kevin"達也 at 23:15Comments(0)演劇

2013年12月02日

6番シード「Dear Friends」観劇

 昨日は劇団6番シードさんの公演、「Dear Friends」を見に東京は中野まで行ってきました。僕が持っている6番シードさんは映画の持つ面白さを演劇に上手く移植した劇団さんだと思っているんですが、今作の印象は「演劇をやろうと」というもの。基本に戻ったという点では古くもあり、あまり見たことない展開からいけばちょっと新鮮でもあり。とはいえ、今までつちかってきた役者さんのキャラや、掛け合いといった上手さは継続しているんで全然安心して見れたんですけどね。で、肝心の感想ですが、まー泣かせていただきましたよw!大阪公演も絶対見に行きますよ、あたしゃ!



 今回の東京公演は劇場MOMOさんというコンパクトな小屋。関西の演劇を知っている人なら大阪日本橋のインディペンデントシアター1stと同じくらいと言えばイメージしやすいかな(おそらくどちらもキャパ80人のはず)。それに対して1月に行われる大阪公演は大きめな芸術創造館という所。劇場の違いで作品の印象がどう変わるのか、変わらないのか、それが楽しみであり、こわくもあり。

 さてこの公演の目玉の一つに過去公演で客演した役者さん達による日替わりゲストというのがあるんですが、そのゲストさんの出番が意外と多いし、ストーリーに結構関わってきます。演じるキャラも日によって違うためにエンディングは同じでも、そこに向かうまでが役者さんのそれぞれの色が出て、違う楽しみが発見できるのでは。もし中野に住んでいたら全バージョン見たいと思っているかも(苦笑)。

 「Dear Friends」東京公演は12月8日(日)まで。同大阪公演は来年1月23日から26日までです。詳しくは以下のHPで!
http://www.6banceed.com/dearfriends/index.html

  

Posted by 天野"kevin"達也 at 00:45Comments(0)演劇

2013年11月23日

天国デビュー1周年記念「エミちゃん祭り」

 昨年11月17日に亡くなった牧野エミさんを追悼するイベント、「天国デビュー1周年記念『エミちゃん祭り』」に行って来ました(この「記念」としたところが故人の人柄と人望から伺えますね)。夕方の部と夜の部の二部構成。若干ゲストの違い等がありましたが基本内容はほぼ同じだったようです。僕は仕事の都合があったので夜の部に行って来ました。

 このイベントは彼女が生前通り組んでいたがん患者と家族、支援者達が分かち合うリレーウォーク等のイベントを行う「リレー・フォー・ライフ」へのチャリティーとなっており、出演者・お客さんが無料で集まるイベントとなっていました。




爆笑BOOINGで一緒に司会をしていた遥洋子さんや晩年出演していたラジオ「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」のリスナーさんから花が贈られていました。


ロビーには様々な時代のエミさんの写真が。お客さんが写真にコメントのメモを貼れるようになっていました。



最後に所属していた「タニマチ金魚」で使われた小道具等も展示。


タニマチ金魚第一回公演「更年期 SHOW ガール」で使われた小道具。


劇団「MOTHER」のパンフレット。「売名行為」時代のは無かったような?


エミさんの遺品をチャリティー販売。こうして服を見るときゃしゃな人だったんだなぁ。所属事務所のプロフィールを見ると157cmとあるんで決して小さくはないんだけど、服から受けた印象はそれよりも小さく見えました。


同じく遺品から。アクセサリー系は夕方の部で結構売れてしまったようです。

 さてイベントの方はオープニング+30分×3の計四部構成。まずは今イベントの呼びかけ人である升毅さんの司会でスタート。「MOTHER」公演のオープニングダンス映像(牧野エミ振付)をバックに元「MOTHER」のメンバーによる再現がありました。姪の牧野舞さん(イリージョニスト)も参加するという粋な演出もあり。あの当時を知る人たちにはたまらない物があったんじゃないでしょうか。

 第一部は三代澤康司アナによるラジオのコーナー。ラジオコントを一緒にやっていた松尾貴史さん、FM番組でのコンビ、元ナニワエキスプレスの清水興さん、「歌謡大全集」でのコンビで「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」の後継アシスタントとなった桂南天さんの四人によるトーク。

 第二部は「タニマチ金魚」でのエピソードをクイズにしたコーナー…だったはずが司会の後藤ひろひとさんによって大喜利になっていましたw。そのおふざけに対してのエミさんからのおしかりがあったのか終演直前にひろひとさんの靴の底が外れるというサプライズがw。出題者として「タニマチ金魚」の楠見薫さん、中道祐子さん。出題のナレーションとして川下大洋さん。回答者に国木田かっぱさん、武内由紀子さん、夜の部には爆笑BOOINGに出演していた矢野兵動の兵動大樹さんが参加していました(他数名参加していたのですが間違いがあったらいけないのでカットします。スイマセン!)。

 第三部は「売名行為」「MOTHER」の映像を当時の仲間達と振り返るコーナー。立原啓祐さん(おじいちゃんメイクをしていたので最初誰か解らなかったw!)、東野ひろあきさん(北野誠さんの元相方。現放送作家・劇作家)、コング桑田さんとあと数名(スイマセン!!)、そして元「MOTHER」のメンバー達。司会は升毅さんでした。僕が知っている牧野エミさんはテレビやラジオのエミさんで劇団時代の頃は知らなかったのでとても新鮮でした。オープニングとエンディングでは恒例だったダンスはエミさんが振り付けしていた事、映画「フットルース」が好きだったこと(ダンスの影響もここからだとか)、姉御肌で新人女優が入ると「なにかあったら私の名前出しっ!」と言っていたこと等々。

 最後に「タニマチ金魚」でエミさんの舞台衣装として制作されたセーラー服をじゃんけんでお客さんにプレゼント。エミさんが亡くなった事を知らないままこのイベントの告知を聞いてかけつけた女性が受け取っていました。最後の最後で制作を担当(?)していたわかぎゑふさんが登場して終了。

 涙もちょっとあったけど、まさに「天国デビュー1周年」というエミさんらしい楽しいイベントでした。この場に集まってくれた皆さんに、そして集めてくれた牧野エミさんに感謝!

  

Posted by 天野"kevin"達也 at 09:25Comments(0)演劇

2013年11月12日

青年座公演「テロリストは山手線に乗る」観劇

 さて先日東京に行って来たのは皇居を走るにあらず(ちょい目的ではありましたが)。よく見させて頂いている劇団6番シードの松本陽一さんによる脚本・演出による青年座公演「テロリストは山手線に乗る」を見に行って来たのです。青年座さんには申し訳ないのですが、老舗の劇団さんはちょっとお客さんの年齢層が高めのイメージがあって僕としては縁がない、と思っていたのでいい機会だと思い行って来ました。

 落ち目の駄菓子メーカーの一室で新商品の宣伝企画が持ち上がる。それは社員達がテロリストに扮し「東京を占拠する」という予告をするものの、実は新商品のラッピング電車を山手線に走らせるというフェイクムービーをYoutubeに投稿する、という物だった。テロリストとしてのリアル感を出すために傭兵経験のある人をコーチに呼び特訓を重ねる社員達。やがてフェイクムービーは完成するがネットからの反応は今ひとつ。しかしゴシップ記者や国際会議の開催、そして同じ名をかたるテロリストが現れたことから引くに引けない状況に追い込まれる。やがて社員達はある決断をすることになる…というお話でした。 

 いやー全てにおいて冴え渡った素晴らしいお芝居でした。6番シードさんで昨年11月に公演を行った「傭兵ども砂漠を走れ」からのスピンオフ的作品になるのですが、スピンオフとなると元作品からワンランク下になりがち。しかし「テロリスト~」は全然単独でも成立・勝負できる作品に仕上がっていました!日本を舞台に銃器やテロを扱う事に現実性を持たせる事の難しさを、序盤はゆるく笑いで乗り切り、徐々に人間ドラマを盛り上げることで上手く切り替えているのが流石なのです。機会があれば6番シードバージョンも作って欲しい所。



 個人的にツボだったのは銃器の素人である駄菓子屋メーカーの社員達が間違った構え方を矯正されていく所。「テロリストは山手線に乗る」「傭兵ども砂漠を走れ」で銃器アドバイザーを担当した元傭兵細川雅人さん(「傭兵~」は細川さんの経験を元に作られた作品)のワークショップを受けたことがあるのですが、僕たちがワークショップで受けた内容そのままだったので再受講した気分(笑)。あれ、「上手く下手にやる」のと「自然に上手くやる」のと両方演じ分けしないといけないから役者さん達は大変だったと思うなぁ。



 さて6番シードさんは11月29日から東京中野で「Dear Friends」という舞台をやります。こちらは久しぶりの大阪公演もあり!来年1月23日から26日まで。旭区の芸術創造館に集合です!
http://www.6banceed.com/dearfriends/index.html
http://www.artcomplex.net/art-space/index.html  

Posted by 天野"kevin"達也 at 16:05Comments(0)演劇

2013年10月20日

舞台「JFK」始まりました!

 映画喫茶白鯨主宰、若林賢太郎さんが出演する舞台「JFK」を見に行って来ました!劇場は大阪天王寺区にある心光寺さん。お寺と併設しているイベントホールでの演劇公演はよくあるのですが、今回はお寺の本堂をそのまま使っての公演でした(文化的価値の高い物をそのまま使っているので若林さんによれば稽古中は気を遣ったとか)。

 物語は心光寺の跡取り息子の元に幼なじみの女性が訪れた事をきっかけにお葬式の時しか出番のないお寺のイメージを変え、もっと訪れやすいようにしようと企画が立ち上がる。檀家さんや地元のローカルテレビを巻き込んでの企画チームは「JFK」と名付けられる事になったのだが、仏像の窃盗団、そしてタイムマシンに乗ってある人がやってきたことでこの企画は違う方向に動き出す…。というお話でした。

 面白いお芝居でした!公演のほとんどをコント調で進みながら、ラストはキチンと振ったネタを回収して締めてくれたのには拍手。役者さん達の個性を上手く引き出している点にも好感。今回若林さんはローカルテレビのカメラマン役なのですがモンスターズインクのサリーよろしく「ガオー」とやっているのが彼らしくてよかったなぁ。



 公演は26日(土)までやっているのでお時間ありましたら是非。ちょっと心光寺の場所がわかりにくいですが、演劇好きな人には應典院から通天閣方向にちょっと行った所、と言えばわかるかな。

「ふつうのお寺」の心光寺のページ

予約はコチラで→ http://ticket.corich.jp/apply/47841/017
公演詳細はコチラから→ http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=47841



 そして「映画喫茶白鯨」は10月28日です。今回のテーマは「倍返し映画」!というか「リベンジ映画」です。大阪難波の味園ビル内「なんば白鯨」さんにて19時頃スタートです。
http://hakugei.net/archives/7529  
Posted by 天野"kevin"達也 at 16:33Comments(0)演劇

2013年08月18日

2013年観劇上半期記録

1月14日「キリンの8割、わたしの2割」
ATLAS トリイホール

 動物園を舞台にした恋愛劇。女の子が恋した人はゲイでしたというお話。面白かった!面白かったけど主人公にゲイとストーカーという大きなハードルを二つも背負わしたのはどうだったのかなぁ?どちらか一つで充分だったと思う。見る側として共感しづらい。後から調べてみてゲイの部分は大事に描きたかったのは解ったけど…なにがなんでもゲイじゃないと成立しないキャラでもないような気がする。それでも面白かったのは役者さん達が上手かったのとチームワークの良さに尽きると思います。

1月19日「【舞台版】絶体絶命都市 世界の終わりとボーイミーツガール」
劇団エリザベス インディペンデントシアター1st

 同名のテレビゲームを元にした架空の震災後を描いたお芝居。まだ東日本大震災の記憶が残る中で震災をエンタメとして描いた点は大きく評価。また時間を時折巻き戻したりすることで主人公二人とその他四人がリンクする作りもよし。だけど死の匂いを排除しすぎていないか?前面に出されるとそれはそれで引くのだが、影で匂わすことをしても良かったと思う。あとキャラが「退場」する理由をもっとしっかり構築して欲しかった。なんとなくの自己犠牲では泣けないな。

1月20日「短篇集:几帳面独白道化師/キチョウメンドクハクピエロ」Astage・Bstage
バンタムクラスステージ そとばこまちアトリエ BlackBoxx

Astage「几帳面独白道化師」感想
 ゲスト脚本家による書き下ろしを除けば唯一の初演となる作品。公演後、パンフを見るとジョジョの影響があると書いてあり思わず心の中で「そうか!」。偶然だろうけど今作品の主演は「ジョータロー」さんだ。
 劇団初期の作品は見ていないので解らないのだが、ここ数年の作品で宗教であったりオカルト的な事は出てきても、描いて来たのは「人」。しかし今作品では悪魔(?)が出てきた事でいつもと違う作品になった。その点で一見バンタムぽい作品でありながら、実はバンタムぽくない作品。と言っても「らしさ」は残っており、いったい何が本当なのか?という観客を戸惑わせる「謎」と、おなじみの緒方ちかさんの「二面性」でお腹一杯。満足。
 ただ主演の丈太郎さん「ならでは」の色が薄い。どうしても福地教光さんとダブって見えてしまう所が気になったなぁ。

Astage「チェーホフの銃」感想
 匿名劇壇の福谷圭祐さんによる書き下ろし脚本。実は今回の全6作品の中で一番のお気に入り。 匿名劇壇さんは以前LINXSで拝見したことがあるのですがこの時も劇中劇、というより執筆中の脚本を可視化するスタイルは共通していました。LINXSの時はシュールな作風だった事もあって「若いな。」と感じたのですが、今回久しぶりに見るとレベル上がっている!
 劇団代表兼脚本家が「食えねぇんだったらいい加減劇団ヤメロ。」と彼女に怒られ、さらに執筆中の脚本を勝手に書き換えられてしまうというストーリーなのですが、脚本の福谷さんと演出の細川さんが共有している劇団経営の難しさをさらけ出した時点でこのお芝居の勝ちが決まったようなものだったかな。お客さんに聞いた中でも評価の高い作品の一つでした。
 実は過去のバンタム作品からのスピンオフ(番外編というより副産物)作品なのですが、元ネタを知らなくても楽しめるし、元ネタを知っていればより楽しめる作品となっていました。

Astage「ジャガーノート」感想
 2012年5月の演劇イベント、LINX’S04で上演された作品の再演。この時、都合で見に行けなかったので代表の細川博司さんの御厚意で稽古を見せて頂きました(改めてありがとうございました)。その時の報告は以下のリンクで見ることが出来ます。
http://kconasu.otaden.jp/e239517.html

 実はこの時、見た感想としては「いつものハードボイルドなバンタム的ではあるけれど、いまいち面白さがわかりにくい。」という物でした。舞台稽古という物を見るのも初めてだったので「こういう物なのかな?」と納得させていたのですが、短編集でのバージョンを見ると「本当はこうしたかったんだ!」と驚いてしまいました。
 マフィアの情婦役の小野愛寿香さん(ステージタイガー)が加わった功績がかなり大きかったと思います。バンタムらしいシリアスな雰囲気をぶち壊し、笑いの方向に持って行くには外部から来て貰ったのは正解。また小野さんは精神的なマッチョも、肉体的なマッチョも表現出来る希有な女優さんなのでこういったぶち壊す役目には最適でした。

Bstage「オクラホマ・スタンピード」感想
 「バンタムクラスステージ」の母体となった「シアターシンク万化」から派生した、「バンタム」とは兄弟分となる「はちきれることのないブラウスの会」の二朗松田さんによる脚本。「はちきれる〜」がコント的演劇を売りにしているため、今作もその世界を持ち込みつつ、バンタムの世界も生かした「一粒で二度美味しい」作品。
 オクラホマの銀行の金庫を襲う予定だったのだが、一人の提案から段々おかしな方向に進み出す、というお話。ボケの三人にどうしても目が行ってしまう物の、ツッコミ役、かつ舞台と観客のパイプ役でもあった南光愛美さんが後になって思い返すと大事だったな、と思うのです。

 ところで「オクラホマ・スタンピード」ってプロレスの技の名前って知っていましたw?

Bstage「エドゥアルド・ウルリヒ教授の鎮痛剤」感想
 バンタム東京公演で上演された物の再演。冷戦時の東ヨーロッパのスパイの匂いがする今回の6作品の中では一番「バンタムらしい」作品と言えるノワール演劇。前日談や後日談、引き延ばして長編に仕上げることも出来そうな可能性を持った作品。ウルリヒ教授役の木下聖浩さんが渋くて格好良い!
 ただ福地教光さんと緒方ちかさんの関係が「親子ほど年が離れた」としていたのには不満。これは東京公演の時に福地さんの役を演じた小沢和之さん(6番シード)の設定が残ってしまったからだと思うのですが。福地さんと緒方さんではどう見ても「同級生」なんだよなぁ。ここは書き換えても良かったかもしれない。

Bstage「タナトス行政府」感想
 劇団初期に一度、そしてこちらも東京公演で上演された作品であります。関西のどこにでもある家庭。しかしそこの娘は一見元気ではあるものの心臓に疾患を抱えていた。その一方で謎の役所に新人が入所。ここで研修を受けていた…という話です(ちょっと訳が解らないと思いますがネタばれすると面白くなくなるのでココまで)。

 6ステージのトリを勤めるのにふさわしい笑いありドラマありの舞台でした。笑いとツカミは殿村ゆたかさんの功績が、ドラマは山本香織さんの功績が大。特に山本さんはじわじわ存在感を増していく「裏主人公」として一番大事なポジションだったのかも。彼女抜きのこの舞台はちょっと想像できない。そのくらいの上手さ。

2月10日「ごんべい」
ゲキバカ HEPHALL

「ごんべい」は一度ブログで書いたので省略。最高のお祭りでした!
http://kconasu.otaden.jp/e267286.html

2月16日「LINX’S Non Stop to TOKYO」ニコルソンズ・梅棒
2月17日「LINX’S Non Stop to TOKYO」ぬいぐるみハンター・虚飾集団廻天百眼
世界館


 ニコルソンズさんに「えーそれ?」と言いたい面もあるが梅棒さんとのマッチメイクにはかぶる点が多く、結果的に前座のようになってしまったのはかなり酷だったと思う。梅棒さんがそれだけお客さんの心をつかんだ結果ではあるんだけど、「交わってしまう」マッチメイクである以上、勝ち負けを決めてしまうんだよなぁ。
 今回のニコルソンズさん、僕はダメでした。ネタという石を積み上げようとするんだけどその度に蹴り飛ばしている感じ。ラストで実は蹴り飛ばした石がこっそり石垣になっていました!という驚きもなし。個々のネタは好きなんだけど全体通して見ると…。
 梅棒さんはゲキバカさんに所属している伊藤今人さんを中心に活動しているダンスユニット。物語を持たせたダンスが定評で東京で行われたイベントはプレミアチケットに。今回の大阪公演のためにわざわざ遠征してきたお客さんもいたようで、拍手等のリアクションが前もって解っていました。

 リンクス二日目、一本目はぬいぐるみハンターさん。面白かった!面白かったけどボケ中心になってしまってツッコミが不在だったのがもったいなかった。これはあくまで演劇なので笑いを目指す必要はないんだけど、ここでツッコンだ方がオイシイよ!と思うのは関西人の哀しい性なのでしょうか(苦笑)。僕なら、というのはナンセンスなのですが余命いくばくもない青年にその役目をやらせるのですが。
 二本目の虚飾集団廻天百眼はアングラ劇。数年前ならただ拒否反応を示してそれで終わりだったと思うんだけど、お付き合いさせて頂いている皆さんのおかげで色んな物を体験させてもらった結果、映画、アニメ、絵画、演劇どの分野にしても「心に引っかかる」物がないと記憶に残らないという考えが出ているので、お客さんにコンニャク等を投げつける(!)このお芝居は僕の中ではアリでしたね。こういうアングラ劇の諸先輩方を見て幻魔大戦(暗黒舞踊)やウテナ(音楽)が影響受けた事を考えると経験して良かったな、と。ただ激しい点滅をする照明は体質的に合わないので本公演クラスの2時間見るのはゴメン!嫌だ(苦笑)。

3月2日「発情ジュリアス・シーザー」
柿喰う客 青山円形劇場

 柿喰う客さん恒例の女性だけでシェークスピア作品演じる企画。衣装等を日本の西南戦争に置き換えての舞台。全体の雰囲気は歌舞伎的なつくり。うーん。最後のブルータスの粋な死に方でなんとか帳尻をあわせてギリギリプラスで終わった感じがするかなぁ。原作の縛りがあるとは言え、ラストまでの積み上げ方が演出の意図と反して空回りしている気がする。

 それと青山円形劇場という舞台の難しさも(中央に円形の舞台があり、その周囲を客席が取り囲むような形状)。メインクラスの役者さんは良い通る声を出しているんだけど、一部、線の細い声の役者さんがいて聞き取れない所も。その役者さん達が「つかみ」担当でもあっただけに物語に乗りにくかった。正直「もっとガンバってよ」という感じ。アフタートークで「聞き取れないところもあったでしょうが、改めて別の席で見て頂くと新たな発見があると思います。」と役者さんが言っていたが、それは役者として、表現者として言っていいのかなぁ?

 その後の大阪での公演は通常の舞台がある会場なので聴き取りにくいのは改善されると思っていたのですが(見には行かなかった)、見に行った人の話を聞くとここでも円形の舞台を組んで、やはり聞きずらかったとか。

 厳しめの事を連発しましたが、お客さんに伝わるように丁寧に作っていけば絶対おもしろいお芝居だと思うんですよ。つまらない所で減点しすぎ。仕切り直しての再演に期待。

3月23日・24日「ハーメルンの記憶」
バンタムクラスステージ 世界館

 なかなかの演劇偏差値高めのお芝居。だけど癖になる面白さ!これは二回、いや何回も見たくなるわ。ただ、最後のひとひねりに関しては戸惑いを持ったお客さんがチラホラいたのも事実。個人的にはこの戸惑いは歓迎なんだけど、エピローグで回収すべき事が多すぎて若干間延びが発生。その上お客さんの頭が疲労状態でこれをやるのは?という感じも無くはないんですよねぇ。

 二重・三重構造になっている複雑な舞台のために、作・演出の細川博司さんの頭の中にあるものを表現するのが難しい舞台だったとおもいます。それを表現した役者さん・スタッフさん達に拍手。

4月28日
The Stone Ageヘンドリックス「おおきないし」
The Stone Ageブライアント「そんな奇跡は起きなかった」
トリイホール

 細かな事情はよく知らないのですが、元々一つの劇団だった物が大阪組の「ヘンドリックス」、東京組の「ブライアント」に増えた劇団さん。今回は合同公演ということで劇団名の「石」をテーマに1時間から1時間半の間の作品をそれぞれ製作したそうです(セットも同じでは無かった物の、共有している物が多かったと記憶しています)。

 「おおきないし」は天狗伝説がある村に取材に来たUMA(未確認生物)ライターの女の子が限られた人だけが持つ天狗を見ることが出来る能力を持っており、そこでひとりぼっちの天狗と交流していくのだが…。というお話でした。
 これは面白かった!前半は緒方晋さんによる天狗によるややドタバタ的なコメディだったのですが、後半に行くにつれ天狗はフェイドアウト。実は津波の被害があった村という話になり、それによって傷つけられた心の再生という話に移行していきます。これが泣けた!
 「ヘンドリックス」さんは大阪で定期的に公演をしていますし、出演メンバーも客演の方も含めてほぼ固定されているので、チームワークのレベルが高いんです。僕の中では安心して見に行ける劇団さんの一つですね。
 余談ですが天狗のフェイドアウトの仕方がやや唐突な感じが見終わった後、したんです。徐々に丁寧に消えていっても良かったんじゃないかな、と思ったんですが、時間を置いて振り返るとあのいきなりな感じがむしろ良かったんじゃないか、という気もしてきたんです。きっと正解なんてないんでしょうけど、今になっても色々考えさせるお芝居って素敵やなぁ、と思ったりなんかして。

 「そんな奇跡は起きなかった」は地獄に落とされ、永遠と石を数えさせられている者とそれを管理している鬼達の物語。と、聞くとシリアスな雰囲気がするのですがコメディ作品。客演のニコルソンズの火野蜂三さんとゲキバカの西川康太郎さんの個人技が光る舞台でした。ただその個人技に頼りすぎてチームとして、作品としては印象に残っていないんです。個々のネタは目茶苦茶面白かったのですが、色々広げすぎて最後にまとめきれなかったのが残念。

5月19日「ドロテアノヒツギ」
ムーンビームマシン HEPHALL

 グリム童話の世界をベースにしたお芝居。マジック・ダンス・映像も用いたまるで遊園地のようなお芝居。予算や人材の点から東京に比べるとどうしても大阪は残念ながら劣る事が多いんだけど、ムーンビームマシンさんは負けていない。オンリーワン、は言い過ぎかも知れないけど何処にもない個性を持っている。
 ただ、オッサン一人で「遊園地」行くのはちと恥ずかしいw。彼女か子供を連れてこないと。

5月25日「田舎に住む人たち」
カンセイの法則 應典院

 北関東か東北を思わせる田舎町の何も観光資源のないのに何故かある観光課の物語。個人的にこんな感じのやさしい舞台、好きです。

 ただほぼ全てのキャラクターが東北弁(というかそのようなもの?)で演じるために「つかみ」の所で見ている側が期待していた「間」と演じる側が用意した「間」にずれが生じてしまった感じがしました。芝居が進行するにつれて東北弁に慣れてずれは解消されるのですが、結果的に「つかみ」が機能しなかったのは勿体なかったなぁ。かと言って関西弁にすれば物語の良さも消えてしまうし…。

 それとちょっとネタばれになりますが一周まわってほぼスタート地点に戻ってくる、見方によってはシンプルなお話なので、誤魔化しが効かない舞台だと思いました。この舞台ではちょっとしたほころびが目立ってしまう。良い脚本なのですが、良い舞台にするためには間をコントロール出来る上手い役者さんを全員揃えたり、色々丁寧にやっていかないと難しいかもな、と思いました。

5月25日「金星の日曜日」
劇団925 インディペンデントシアター1st

 お金と喫茶店をテーマにした1時間ちょっとの作品を二本上演するという構成。テノヒラサイズのオカモト國ヒコさん作による「まごころを君に」と伊藤えん魔さん作による「誰がために金は要る」でした。

 劇団925さんは中西邦子さんの一人劇団。日常生活にちょっと不思議な世界が混じるお話が多い劇団さんなのですが、邦子さんのほんわかとした雰囲気のおかげなのか、それが全く不自然と感じさせないんです。「まごころを君に」では邦子さんは結構かわいそうな立場になってしまうのですが、それをお客さんに引かせる事無く笑わせる事が出来たのは彼女の個性あってこそだと思います。

 両作品とも楽しかったし、面白かった!ただ「誰がために金は要る」は一本見た後の疲労のせいなのか、ちょっとだけ長く感じてしまったのが残念。ひとネタ削っても良かったかも。

6月2日「凍れる夜」
May 芸術創造館

 これは凄かった!僕が数え間違いをしていなければが四つの物語が交差する複雑な構成かつ、二時間半の長丁場を全く飽きさせないのは流石としか言いようがない。この良さを伝える言葉、せめてあらすじだけでも出来ればいいんだけどそれすら表現を持ち合わせていない自分にがっかりするのと同時に作・演出の金さんに嫉妬してしまう。とにかく凄かった。これは今年のNo.1最有力かもしれない。

 役者さん達の中で凄い!と思ったのが朝鮮半島の近代の歴史をリンクさせながら少女から老婆まで演じきったふくだひと美さん。その変化の様子を見たときゾクッとしたものを感じました。

 全話を共通してトッケビという朝鮮半島の妖怪が出てくるホラー作品なのですが、このトッケビの存在のおかげでエンタメとしてのオブラートができあがり、人間の愚かしさと言った、下手すると説教臭くなりがちな骨太な部分を上手く必要以上に気にさせないようにさせていたんじゃないかな?硬軟共に充実した作品でした!

6月16日「おぼろ」
スタージャックス 江坂スペースシアター

 ゲキバカさんの作品「おぼろ」を同劇団の演出、柿ノ木タケヲさんを迎えてスタージャックスさんが上演した作品。ゲキバカさんらしく大衆演劇的なお祭り的な作品で楽しかったのですが…面白かったかと聞かれると正直ちょっと物足りなかった。

 企画としてゲキバカさんの大衆演劇的世界と、スタージャックスさんの殺陣が融合すれば面白くなるだろうという目論見があったと思われるのですが…上手くいったのでしょうか?ゲキバカさんの舞台は所属俳優さんの個性を理解し、そこを100%引き出したところに魅力があると思うんです。ガンダムワールドぽく言うと「(役者さん)専用(舞台のキャラクター)」なんですよね。その専用モビルスーツにスタージャックスさんの俳優さん達が乗りこなせていない感じがしました。聞いた話によると段々良くなってきたらしいので、千秋楽には乗りこなすことができたのかな?
 
 一番の問題は先に見たゲキバカさん「ごんべい」のレベルの高さから期待値を上げすぎてしまった僕自身にあるのかも(苦笑)。もうちょい頭の中にある余計な物を取っ払って見れば良かった。

6月28日「Call me Call you」
6番シード 吉祥寺シアター

 これも一度ブログで紹介したのでカット。公演後主演の宇田川美樹さんに「6万字もの台本を2時間の枠で喋るなんて凄いですね!」と話したら「そう?まだまだ出来るよ!」との答え。宇田川さん、というか6番シード凄いよ(笑)!
http://kconasu.otaden.jp/e280392.html  
Posted by 天野"kevin"達也 at 18:00Comments(0)演劇

2013年07月22日

文楽を見に行って来ました。

 日曜日に大阪日本橋の国立文楽劇場に出かけてきました。橋下大阪市長による二回の視察や、補助金打ち切り問題をきっかけに変な形とはいえ注目を受けた文楽。どういうものか興味がありましたし、見もせずに橋下さんを批判できないな、と思い行ってみました。


 今回見に行ったのは三部構成となっている夏休み文楽特別公演の内の第二部「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」。歌舞伎でも同じ脚本が使われている有名な作品だそうです。話としては奈良時代の蘇我入鹿の暗殺なのですが、舞台や衣装は江戸時代の物に変更されています。また入鹿が権力を得たり暗殺されるきっかけが出来るのに魔力の存在が関係していることからファンタジー要素も付け加えられています。

 休憩込みで4時間にもわたる演目だったのですが(ウィキペディアの解説を読むと物語の序章となる部分をやっていなかったのでこれでも半分程度だったのかも…)笑えるポイントもあって面白かったです。始まってすぐは主人公求馬(もとめ。実は藤原不比等)をめぐって二人の女性が争う痴話げんか話で、お昼御飯後というのもあったのですがあまり興味が持てず何度か居眠りしてしまったのですが、後半に向けてグンと盛り上がってきてここからは集中して見ることが出来ました。

 最後は史実通り入鹿の殺害で終わるのですが、四人の兵士達が持つ槍に刺されたような、明確に「入鹿は死にましたよ。」という表示をしないまま幕を閉じてしまいます。橋下さんが「曽根崎心中」を見たときに「あっさりしていて物足りない。」と言ったそうですが、演目が違うとはいえ僕も同じ感想を持ちました。ここは過去の演出に縛られない努力も必要かもしれません。ただ、この時橋下さんが「人形遣い(主遣い)は顔を出さなくてもいい。」という意見も言ったそうなのですがこれには同意しかねます。物語が面白ければそれを表現するための手段は何でもいいと思うんですけどね。大体その程度で舞台の質が良くなるのならとっくの前にやっていますって(笑)。ここは観劇の経験が薄い橋下さんの無知をさらしただけじゃなかったのかな。

 ちなみに国立文楽劇場は歌舞伎や能の舞台として使われる事もあって結構綺麗でした。飲食店も歌舞伎座ほどじゃないですけど充実していましたし。劇場の上の方に物語を読み上げる太夫の台詞とシンクロして字幕が流れるようになっているのですが、前の方の席だとちょっとそれが見えづらい(早めに予約したので前から三列目でした)。席が選べるのなら真ん中くらいの方が舞台全体も見渡せていいかもしれません。

  
Posted by 天野"kevin"達也 at 21:51Comments(0)演劇

2013年07月02日

6番シード「Call me Call you」鑑賞

 映画「交渉人(ケビン・スペイシー&サムュエル・L・ジャクソン主演)」に匹敵するドラマを東京・吉祥寺で見てきました!


 日曜日、劇団6番シードさんの公演「Call me Call you」を見に行って来たのです。あるダンススタジオで立てこもり事件が発生。警察はSITと呼ばれる特殊捜査班を現場に送り込む一方で犯人と交渉する交渉人を派遣した。その交渉人はなんとおばあちゃんだった!というお話です。

 毎回思うのですが6番シードさんの「つかみ」は本当に上手いんですよねぇ。映画におけるタイトルデザイン(オープニングの中のタイトル・出演者・スタッフを紹介する部分)を意識しているのだと思うのですが、これで登場人物の役割が大体解る。そのおかげで劇中で余計な説明をする必要がかなり省けてドラマに演じる側も見る側も集中できていると思います。それにスタイリッシュでここだけ見ても十分格好良い。

 話は次第におばあちゃん交渉人の宇田川美樹さんと立てこもり犯の藤堂瞬さんの二人のやりとりに集中していくのですが、これが素晴らしい!これを盛り上げるために誰でも主役を張れる力を持っている6番シードの役者さん達が脇にひかえ、本物かと見間違うくらいの立派なトレーラー(警察サイドの本部となる。下の写真参考)があるというのはかなり贅沢な舞台だと思いますよ。



 「立てこもり犯の目的は何なのか?」というミステリーとしての楽しみもあるんだけど、そこに関しては正直そこそこだったという感想でした。ただダメだったという意味ではなく、演劇でミステリーをお客さんに伝える事の難しさを考えれば、安直でもなく、難しくもない、ちょうどいいバランスを取れていました。繰り返しになりますが宇田川さんと藤堂さんの演技目当てにした方がより楽しめると思います。

 ちょっと残念だったのは今回のお話をひっかき回す役目のネット専門のジャーナリストコンビが無茶しすぎたことかなぁ。無茶をする理由付けが欲しかった所なんだけど、そこに力を入れすぎると主役達の話の邪魔になりかねないし、キャラクターを持ちすぎるとひっかき回しにくくなるし…。難しいところなんですけどね。

 飛行機の予約があったので昼の回、一回限りになってしまったのですが、もう一回見たかったなぁ!チケット3,800円(前売・当日共通)は正直言って安いと思いますよ。7月4日(木)までやっていますので東京及び東京近郊にお住まいの方は是非!吉祥寺駅近くの吉祥寺シアターさんです。

「Call me Call you」特設サイトへのリンク
吉祥寺シアターのHP  
Posted by 天野"kevin"達也 at 12:05Comments(0)演劇

2013年06月09日

マイケルジャクソン「イモータル」


 を見に久しぶりの大阪城ホールへ。格闘技イベントでしか来たことがなかったので女性率の高いお客さんに若干戸惑い(苦笑)。

 シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスは凄かったですよぉ。ただそれと同時にコンサート会場の空気を支配出来ていたマイケルの不在を改めて感じる一日でありました。サングラスを取るだけでお客さんを「キャー!」と言わせるのは彼だけが持つ能力だったんですねぇ(しみじみ)。マイケルのコンサートではなくシルクのショーなんだと実感。色々後ろ向きな事を書いてしまいましたが、もの凄く楽しかったんですよ!

 マイケルが亡くなったことで幻のツアーとなった「This is it」で使われる予定だった映像(They Don't Care About Us)やアイデア(ポールダンス)が使われているのでドキュメンタリー映画「This is it」本編で描かれなかった部分を補完する楽しみもあると思います(もしかしたらスリラーも引用したのかも)。

 来週まで大阪公演があるのですが、ステージを真っ正面で見られる席がオススメ。理想はダンサー達が客いじりで来てくれるVIP席なんだけど…この席は完全にソールドアウト(苦笑)。その他の席は若干当日券があるそうなので是非体感して下さい。  
Posted by 天野"kevin"達也 at 15:53Comments(0)演劇

2013年05月06日

ガンアクションWSを受けてきました

 ゴールデンウィークの3・4日に劇団6番シードさん主催銃器アクションアドバイザー細川雅人さん指導によるガンアクションワークショップを池袋に受講してきました。

 基本、このような劇団系ワークショップは素人の参加を断っている訳ではないのですが、なかなか受けづらい印象があります。しかし今回は「ガンアクションに興味のある方なら」という一文がありましたのでせっかくの休日を利用しない手はないと思い勉強しに行ってきました。

 本当のことを言うとガンアクションに対しては深く元々興味があった訳ではないのですが、細川雅人さんがアクション指導をした劇団バンタムクラスステージさんの各公演と、今回主催した劇団6番シードさんの12年冬公演「傭兵ども!砂漠を走れ!」における銃器の所作がとても美しかったので、その理由というか秘訣を知りたかったんですね。

 教えて頂いた内容をすべて書くとキリがないのでそこは割愛しますが、ハンドガンでも実際はかなり重たくそれを長時間持つためには体の、特に上半身の軸を上手く活用しないといけないという点はなるほどな、と思いました。僕のマラソンの経験でも上半身の軸を上手く使わないと無駄に体力のロスが大きくなってしまうので意外なところから共通点が出てきたのでここはすっと理解できました。また今後のジョギングにも活用できるんじゃないかな?

 僕が見たお芝居に参加した役者さん達が多数参加しており、その人たちと一緒に作業するというのはなかなか出来ない経験でした(具体的に個人名をあげると問題があると思うので名前は出せないのですが)。ハンドガンを使う状況として3分程度の銀行強盗の簡単なお芝居をしたのですがたかだか3分のお芝居でも銃器の扱い・演技に関わる色んな事を一度にこなさないといけない大変さをようやく理解できました。さらに言えばその大変さを舞台上では出さず自然な物として役者さん達は自分の中に取り込んでいるんですね。その見えない所での努力に脱帽です。これからお芝居の見方が変わってくるかもなぁ。ほんと、いい勉強させて頂きました。行って良かった!また次回も考えているそうなのでスケジュールがあえばまた受講したいなぁ。

 これは二日間お世話になったハンドガン。


6番シードさんのHP
細川雅人さんが所属するaesのHP  
Posted by 天野"kevin"達也 at 20:13Comments(0)演劇

2013年02月10日

ゲキバカ「ごんべい」鑑賞

 大阪のHEPHALLで開催中の劇団「ゲキバカ」さんの公演、「ごんべい」を見に行って来ました。


 小演劇アリ、大衆演劇アリ、歌アリ、ダンスアリ、笑いアリ、お客さんとの共同作業アリと舞台で出来る表現をすべて使い切った2時間半でした!2時間越えは映画でもつらく、特に演劇の場合、正直椅子が堅いことが多くよりつらくなるのがほとんどなのですが、このお芝居はまったく苦にならない!あっという間で、むしろ「もっと!」と言いたい気分。いやーこれはもう一回見ても退屈することはないんじゃないかな?これは皆さんに是非見て欲しい。明日は千秋楽日となっていまして13時と17時の2回公演になっています。是非!

ゲキバカ「ごんべい」サイトはこちら  
Posted by 天野"kevin"達也 at 17:26Comments(0)演劇

2012年12月19日

今年の観劇メモ



今年はどんな演劇を見たのか確認ついでにブログの記事にしてみました。ごめんなさい、「ついで」です!

1月21日 ゲキバカ「ニトロ」 大阪
2月2日 「BURN CRASH RADIO」(旭堂南陽・hime・Ikeda Kaoru・貴瀬修・豊来家玉之助・加美幸伸・二朗松田・細川博司)大阪
3月17日 はちきれることのないブラウスの会「大沢めぐみの国定忠治」大阪
5月20日 6番シード「ふたりカオス」東京
5月21日 LINX’S04 Bチーム 大阪
6月10日 「INDEPENDENT:TSU」(一人芝居フェス)三重
6月16日 6番シード「ギブミーテンエン・昭和29年のクリスマス」東京
7月1日 ほどよし合衆国「詠人不知のマリア」大阪
7月7日? May「ファンタスマゴリー」大阪
7月16日 ステージタイガー「協走組曲第3楽章」大阪
7月27日 たかせかずひこのミステリー劇場「夏休みだョ!青春探偵」神戸
7月29日 トランスパンダ「folklore(フォークロア)」大阪
8月18日 6番シード「ボイルド・シュリンプ&クラブ」東京
9月2日? Micro To Macro「残響アナザー・ヘブン」大阪
9月8日 BobJack Theater「それはエデンの東か西」東京
9月9日 バンタムクラスステージ「ルルドの森」東京
9月9日 長内まゆこプロデュース(6番シードサポート)「手話版・天気と戦う女」東京
9月29日 オリゴ党「ブキミの森」大阪
10月20日 ムーンビームマシン「Trick or Story」大阪
10月20日 プラセボ祭り(音楽・演劇イベント)大阪
11月11日 いいむろなおきマイムカンパニー「DIVISION POINT−分岐点−」大阪
11月24日 6番シード「傭兵ども!砂漠を走れ!」東京
12月22日 キャラメルボックス「キャロリング」東京

計22本。この中には2回見たり、バージョン違いの物があるのですがそこは省略しています。それらも含めると26本になるかな。しかしまめに東京に行っているなぁ(苦笑)。さて来年はどんなお芝居に出会えるのか?

追記:The Stone Ageヘンドリックスさんの「喪主もピアノが弾けたなら」が抜けていた!多分4月29日です。  
Posted by 天野"kevin"達也 at 20:24Comments(0)演劇

2012年11月26日

6番シード「傭兵ども!砂漠を走れ!」鑑賞

 さてさて三連休を利用して東京池袋のシアターKASSAIさんで公演中の劇団6番シードさんの「傭兵ども!砂漠を走れ!」を見に行って来ました。


 このお芝居は6番シードの代表、松本陽一さんが実際にフランス外国人部隊に在籍していて、現在は映画などで銃器及びそれに関するアクション指導をしている細川雅人さんと共通の知人を通して知り合い、そこで細川さんがソマリアで経験したエピソードが面白く、それをベースに舞台化した物なのです。ソマリアでの経験談はまさに映画「ブラックホークダウン」の頃のお話なのですが重苦しい話ではなくコメディですのでご安心をw。


公演後のアフタートークにて。左から細川さん、松本さん、劇団所属の椎名亜音さん。

細川さんが所属する「aes」のHPはコチラ。
http://aes69.web.fc2.com/index.html

 舞台は架空のとある国。ここは部族間の争いが起きたために多国籍軍が送り込まれていた。その中のフランス軍の傭兵部隊の日本人だけで構成されている小隊に後に「ボンクラ」と呼ばれる兵士が送り込まれてきた。紛争が起きていると言っても実際は平和そのもので、日本人小隊は黙々と地味な仕事をこなすだけ。早く実戦をやりたいとイライラしていた。そんな中「ボンクラ」はキャンプに迷い込んだ現地住民と遭遇する。それが彼らの運命を大きく変える事になる…というお話です。

 非常に面白かったです!それと同時にリアルな軍隊模様を忠実に描きながらよくコメディ作品に仕上げたな、という思いも。今作品は男性による部隊で演じる「サバンナ編」と女性による「オアシス編」の2バージョンでの公演になるのですが、「サバンナ編」は映画的でリアル指向。のどが渇くイメージが伝わるのはこちらかな?一方「オアシス編」は演劇を見た!という気分にさせてくれます。コメディ作品が多い6番シードらしさを感じたいのならコチラがオススメですね。

 ちょっと「んー?」と感じたのが「オアシス編」のミズシマ社長。この役は軍隊という環境の中に紛れ込んだ一般邦人でひっかき回しながら物語を進める脇ながら大事な役なのですが、女性傭兵という非現実的な環境の中ではまだまだパンチ不足の感じがしてしまいました(あれ以上狂ってどうするの?という無茶振りしているのは解っているんですけどねw)。

 そう!今日・明日と両バージョンのキャストを混ぜたレアな「シャッフル編」の公演があるんですよ。どちらも19時から。東京在住の方は是非(くー!うらまやしい)!公演は12月2日まで!

6番シードHP
http://www.6banceed.com/
「傭兵ども!砂漠を走れ!」HP
http://youheidomo.com/

  
Posted by 天野"kevin"達也 at 12:05Comments(0)演劇

2012年11月11日

「DIVISION POINT-分岐点-」観劇

 本日はいいむろなおきマイムカンパニーさんの「DIVISION POINT -分岐点-」を見てきました。「マイム」と付くことから想像できるようにパントマイムによる台詞を排除したお芝居でした。物語らしい物もあるのですが、それよりも体一つで見せることが出来る表現やアートがあることに感激。楽しかったです!残念ながら今日で千秋楽なので「見てください!」とはいかないのですが。

 いいむろさんのマイムを見ていると何故かマイケル・ジャクソンぽいな、と思ったのですが、マイケルが影響を受けたマルセル・マルソーの指導をいいむろさんが受けていたとは!ある意味で兄弟弟子?

 調べてみると2009年の神戸ビエンナーレでパフォーマンスをしている動画がありました。夕方に撮影したのか若干映像が暗めですが、どんなプレイをしているのかは大体解って頂けるのでは。





写真は芸術創造館前のケビンちゃん。雨のおかげで着いた時点で早くもお疲れ気味でしたw(目がすわっている)。  
Posted by 天野"kevin"達也 at 22:30Comments(0)演劇

2012年10月23日

LINX'S TOKYO明日から!

 大阪の超演劇好きのおっちゃん、石田1967さんがプロデュースする演劇イベント「LINX’S」が東京上野に関西の劇団さんを引き連れて上陸!明日から公演開始です。東京の演劇ファンはリンクしてクロスしに来て下さいっ!

詳しくは以下のブログで
http://ameblo.jp/linxs/



■Aチーム
ThE 2VS2
劇団エリザベス
劇団ニコルソンズ
シアターOM「うしとら」プロジェクト
彗星マジック
ステージタイガー

■Bチーム
オパンポン創造社
超人予備校
犬と串
テノヒラサイズ
劇団ZTON
空想組曲

10月24日(水)14時開演 A 19時開演 B
10月25日(木)14時開演 B 19時開演 A
10月26日(金)14時開演 A 19時開演 B
10月27日(土)11時開演 B 15時30分開演 A
10月28日(日)11時開演 B 15時30分開演 A

*受付開始は開演45分前 開場は開演の30分前です。



場所:上野ストアハウス
http://www.storehouse.ne.jp/ueno/
所在地:〒110-0014 台東区北上野1-6-11ノルドビルB1。
アクセス:JR上野駅入谷口より徒歩5分、改札からは約8分。日比谷線入谷駅より徒歩4分。

チケット一覧
◆前売◆
一般前売指定席…3,500円
一般前売自由席…3,000円
学生(高校生以下)…1,500円
学生(大学・専門学校)…2,000円
初日割引券指定席…2,500円
(24日)自由席…2,000円
25日通し券指定席…6,000円
      自由席…5,000円
26日通し券指定席…6,000円
      自由席…5,000円

◆当日◆
一般当日自由席…3,500円
学生(高校生以下)…1,500円
学生(大学・専門学校)…2,000円
初日(24日)割引券自由席…2,500円
25日通し券自由席…6,000円
26日通し券自由席…6,000円
※受付開始は、開演40分前から。
※開場は開演の30分前から。

司会はゲキバカさんを中心にした構成になるそうです。詳しくは以下の記事にて
http://ameblo.jp/linxs/entry-11374408050.html  
Posted by 天野"kevin"達也 at 09:17Comments(0)演劇